Round.3 中国グランプリ
70.Apr.2011 : 上海国際サーキット
周回数 : 56周


◇予選

 予選ポールは、3戦連続となるレッドブル・ベッテル、2位にはマクラーレン・バトン、3位には同ハミルトンが入ります。4位は復調の兆しが見え始めたメルセデス・ロズベルグがつけ、5位はフェラーリ・マッサ、6位は同アロンソと3列目に甘んじる結果となります。7位にはトロロッソ・アルグエルスアリがつけ、自身予選最高位を記録します。8位はフォースインディア・ディ・レスタ、9位はトロロッソ・ブエミ、10位はルノー・ペトロフとなります。
 なおザウバー・小林は13位、レッドブル・ウェバーは、まさかのQ1敗退で18位に沈みます。


◇決勝

 レース直前、マクラーレン・ハミルトンの車に燃料漏れが見つかり、応急修理を実施します。そしてピットクローズのわずか30秒前に修理は完了し、ハミルトンは無事グリッドに着くことができました。
 スタートでは、マクラーレン・バトンとハミルトンが鋭い出足を見せます。そしてやや遅れたレッドブル・ベッテルを、バトンは1コーナー手前で、ハミルトンは1コーナーのアウトから、それぞれ攻略します。続けてベッテルは、2-3コーナーにかけてメルセデス・ロズベルグにも並ばれますが、ここは順位をキープし、バトン、ハミルトン、ベッテル、ロズベルグ、フェラーリ・マッサ、同アロンソ、フォースインディア・ディ・レスタ、同スーティル、メルセデス・シューマッハー、トロロッソ・アルグエルスアリの順でコントロールラインを通過します。
 3周目、DRSの使用規制が解除され、ここでザウバー・小林がアルグエルスアリをオーバーテイクし、10位に順位を上げます。しかしこれ以上のオーバーテイク劇は起こらず、序盤は静かなレース運びとなります。10周目、アルグエルスアリが全車のトップを切ってピットインします。しかしピットアウト直後、右リアタイヤが脱落しリタイヤ1号となってしまいます。
 一方上位では、11周目にシューマッハーとレッドブル・ウェバーが、13周目にロズベルグがピットに入ります。そのロズベルグは、14周目にルノー・ハイドフェルドをパス、続けて同ペトロフをもパスし、9位に順位を上げます。また同周、ベッテルがハミルトンをパス、2位に順位を上げたところで翌周ピットに入ります。しかしここでアクシデントが発生します。同時ピットインを選択したバトンが、間違えてレッドブルのピットに止まってしまったのです。しかしここでもレッドブルのクルーは冷静に対処し、バトンの前でベッテルをコースに送り出すことに成功します。
 16周目、暫定トップのハミルトンと、2位のマッサが同時にピットに入ります。しかしここでもマクラーレンピットはフェラーリピットに負け、マッサに先行を許します。しかもハミルトンは、間にザウバー・ペレスを挟んでのコース復帰となります。しかしハミルトンは、その周回のうちにペレスを攻略、続く17周目にはマッサとハイドフェルドを続けてパスし、7位まで順位を回復します。17周目、暫定トップのアロンソがピットに入ります。翌周、ベッテルに抜かれたペトロフがピットに入り、18周目にはシューマッハー、アロンソと立て続けに抜かれたハイドフェルドもピットに入り、ここで上位陣の1回目のピット作業が完了します。この時点での順位は、ロズベルグ、ベッテル、バトン、マッサ、ハミルトン、シューマッハー、アロンソ、ディ・レスタ、スーティル、小林となります。
 25周目、バトンが2回目のピットストップを行い、26周目にはロズベルグ、ハミルトン、ウェバーが続きます。同周、アロンソがシューマッハーをバックストレートエンドの14コーナーで攻略、先行車のピットのタイミングとも重なり、2位にまで順位を上げます。しかし29周目、アロンソは最終コーナーでロズベルグに、続く30周目にもバトンとハミルトンに相次いで抜かれてしまいます。32周目にベッテルがピットに入り、33周目アロンソ、34周目マッサと、ピットインが続きます。またウェバーがペトロフをパスし、この時点でのオーダーは、ロズベルグ、バトン、ハミルトン、ベッテル、マッサ、シューマッハー、ウェバー、ペトロフ、アロンソ、ペレスとなります。
 36周目、最終コーナーでバトンに並んだハミルトンは、1コーナーで再度バトンに仕掛けます。タイヤが苦しいバトンはハミルトンを抑えることができず、3位に後退します。そのバトンは38周目にピットに入り、39周目にはハミルトンもピットに入ります。40周目にはトップのロズベルグ、そして直前にシューマッハーを攻略したウェバーが相次いでピットに入り、これが上位陣で最後のピットインとなります。
 この時点でのオーダーは、ベッテル、マッサ、ロズベルグ、ハミルトン、バトン、アロンソ、ウェバー、シューマッハー、ディ・レスタ、小林となります。レース終盤、ハミルトンが怒濤の追い上げを見せます。まずは42周目、6コーナーでロズベルグをパス、44周目にはホームストレートでマッサを、52周目には7コーナーでベッテルをもパスし、ついにトップに躍り出ます。またウェバーも唯一ソフトタイヤを履くアドバンテージを活かし、45周目にアロンソを、51周目にマッサを、54周目にロズベルグを、55周目にはバトンをパスし、3位に順位を上げます。
 こうして56周のレースは、ハミルトンが鮮やかな逆転劇で今季初優勝を果たし、無線トラブルにより苦難のレースとなったベッテルが、それでも2位を確保、3位には18番手スタートから表彰台を奪い取ったウェバーが入ります。以下、4位バトン、5位ロズベルグ、6位マッサ、7位アロンソ、8位シューマッハー、9位ペトロフ、10位小林の結果となります。


◇感想

 久々に、トップがオーバーテイクで入れ替わるという、近年のF1では滅多に見られないレース展開となりました。タイヤ交換も3回あり2回あり(唯一HRTのカーティケヤンが1回ストップでしたが)と、途中まで誰がトップなのか、全く判らない状況でした。ちなみに今回のレース、ラップリーダーはバトン、ハミルトン、アロンソ、ロズベルグ、ベッテル、マッサ、ロズベルグ、ベッテル、ハミルトンと変わりました。この中で最長ラップを走ったのはベッテルの計18周で、ロズベルグの計14周、バトンの13周と続きます。優勝したハミルトンは、わずか計6周しかトップを走っていなかったわけで、今回のレースがいかに混戦だったか判ります。すなわち戦略がツボにはまれば、レッドブルとマクラーレンはもとより、フェラーリ、メルセデスあたりも優勝に手が届く可能性があります。それに今回は不発でしたが、ルノーを加えた5チームが、優勝を争うことになりそうです。


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