Round.6 モナコグランプリ
29.May.2011 : サーキット・デ・モナコ
周回数 : 78周
◇予選
予選トップは指定席に返り咲いたレッドブル・ベッテル、2位はマクラーレン・バトン、3位はレッドブル・ウェバーとなります。以下4位フェラーリ・アロンソ、5位メルセデス・シューマッハー、6位フェラーリ・マッサ、7位マクラーレン・ハミルトン、8位メルセデス・ロズベルグ、9位ウィリアムズ・マルドナド、10位ザウバー・ペレスとなります。しかしハミルトンはシケインショートカットによりタイム抹消となり9位に後退、またペレスはQ3開始直後、シケインで大クラッシュに見舞われます。このクラッシュでマシンは大破、ペレスもドクターストップがかかりレース欠場となります。このためルノー・ペトロフが10位に繰り上がります。
◇決勝
スタートでは、メルセデス・シューマッハーが大きく順位を落とし、またレッドブル・ウェバーもフェラーリ・アロンソに先行を許してしまいます。こうしてオープニングラップはレッドブル・ベッテル、マクラーレン・バトン、アロンソ、ウェバー、メルセデス・ロズベルグ、フェラーリ・マッサ、ウィリアムズ・マルドナド、ルノー・ペトロフ、メルセデス・シューマッハー、マクラーレン・ハミルトンとなります。
モナコは抜けないコースで有名ですが、今年のモナコはDRSとKERSにより、随所でオーバーテイクが見られます。10周目、サン・デボーテ(1コーナー)のインから、ハミルトンがシューマッハーをパス、14周目には同じくサン・デボーテで、マッサがロズベルグに襲いかかります。ここで両者軽く接触し、マッサはフロントウイングにダメージを負ってしまいます。しかしマッサは攻めることをあきらめず、プールサイドで再びロズベルグとサイド・バイ・サイドを演じ、タバココーナーでついに抜き去ります。この間を突いて、マルドナドもロズベルグを抜くことに成功します。
15周目、4秒前後の差でベッテルに続いていたバトンが、1回目のタイヤ交換を行います。続いて16周目にベッテルもピットに入りますがタイヤ交換に手間取り、バトンに先行を許してしまいます。また同一周回にピットインしたウェバーも、ベッテルがピットを塞いでしまったため、タイムロスしてしまいます。こうしてピット作業が一段落した29周目の順位は、バトン、ベッテル、アロンソ、ウィリアムズ・バリチェロ、ザウバー・小林、フォースインディア・スーティル、ルノー・ハイドフェルド、トロロッソ・ブエミ、ウェバー、マッサとなります。
34周目、トップのバトンがピットに入った後、ローズでハミルトンがマッサのインを突き、両者が接触してしまいます。ここではマッサがダメージを負いながらも順位を守りましたが、続くトンネル内で再度マッサとハミルトンがサイド・バイ・サイドとなり、レコードラインから押し出されたマッサは、タイヤマーブルに足を取られコントロールを失ってしまいます。こうなるとマッサにはどうすることもできず、トンネル出口でガードレールに接触、リタイヤとなります。
この事故によりセフティーカーが入り、アロンソ、スーティル、小林等がピットに入る一方、ベッテルはステイを選択します。こうして38周目のリスタートの順位は、ベッテル、バトン、アロンソ、スーティル、小林、ウェバー、ハミルトン、マルドナド、ペトロフ、ハイドフェルドとなります。しかしハミルトンは、マッサとの接触により、44周目にピットスルーペナルティーを受け、9位に順位を落としてしまいます。
49周目、バトンが3回目のタイヤ交換を行い、これによりベッテル、アロンソ、バトンのトップ3に変わります。この辺りから1回のタイヤ交換で走り続けているベッテルに対し、2回のタイヤ交換を行っているアロンソがその差を詰めていきます。こうして54周目には2秒以上あった差を、59周目には0.9秒まで縮めることに成功します。しかしモナコだけに、アロンソも抜くまでには至りません。こうしてベッテルとアロンソがバトルを続けているうち、20秒近い差があったバトンも追いつき、64周目には各車0.5秒の間隔で駆け抜けていくこととなります。そして69周目、6位集団をトップ集団が周回遅れにせんと交錯した一瞬、スーティルのタイヤバーストに始まり、これを避けようとしたハミルトンにトロロッソ・アルグエルスアリが接触、さらにペトロフがアルグエルスアリに追突という多重クラッシュに見舞われます。幸いトップ3はノーダメージでしたが、ペトロフの救出のためレースは赤旗中断となります。
レースは21分後、74周目から再開され、この時点での順位は、ベッテル、アロンソ、バトン、小林、ウェバー、マルドナド、ハミルトン、スーティル、ハイドフェルド、バリチェロとなります。しかしそれもつかの間、再開直後にマルドナドとハミルトンが接触、マルドナドはリタイヤとなります。そして77周目、小林がウェバーを抑えきれずにシケインをショートカットしてしまい、これによりウェバーが小林の前に出ます。
こうしてベッテルがモナコ初勝利を飾り、アロンソが今期ベストの2位、3位にバトンという表彰台となります。以下4位ウェバー、5位小林、6位ハミルトン、7位スーティル、8位ハイドフェルド、9位バリチェロ、10位ブエミの結果となります。なおハミルトンは、マルドナドとの接触により、レース後20秒のタイム加算ペナルティーを受けます(順位に変動なし)。
◇感想
レース終盤のトップ3の攻防、これは見応えがありました。たれればは禁物ですが、69周目の赤旗がなければ、残り9周保たずしてベッテルのタイヤが機能を失い、アロンソが今季初優勝を遂げていたかもしれません。そして小林がウェバーを抑えきり、4位を獲得していたかも・・・
まあ5位入賞でも、立派すぎる成績なんですけどね(笑)
さて予選で事故に見舞われたザウバーのペレス。映像を見る限り、無事だったのが不思議な状況でした。折しも94年、同じくザウバーのマシンを駆って事故に遭ったカール・ベンドリンガーと同じ場所でしたから。それにしても大事なく、翌戦カナダには復活できるようで幸いでした。