Round.11 ハンガリーグランプリ
31.Jul.2011 : ハンガロリンク
周回数 : 70周
◇予選
予選トップは、3戦ぶりに返り咲いたレッドブル・ベッテル、2位3位にはマクラーレン・ハミルトンとバトンが、4位5位にはフェラーリ・マッサとアロンソが続きます。以下5位レッドブル・ウェバー、7位メルセデス・ロズベルグ、8位フォースインディア・スーティル、9位メルセデス・シューマッハー、10位ザウバー・ペレスとなります。なおザウバー・小林は13位でした。
◇決勝
小雨がぱらつくウエットコンディションで始まったレース、各車インターミディエイトを装着してのスタートととなります。ここで好ダッシュを見せたのは、路面が比較的乾いている奇数列で、マクラーレン・バトンとメルセデス・ロズベルグが特に良いスタートを決めます。バトンは同僚ハミルトンと1コーナー入り口でサイド・バイ・サイドとなりますが、ここはハミルトンが順位をからくもキープします。一方ロズベルグは、1コーナーのブレーキングで、フェラーリ・アロンソと同マッサの間にマシンをねじ込み、さらにマクラーレン勢のバトルにより前方をふさがれたアロンソが失速するや、アウトからこれを攻略、僚友シューマッハーもこれに続き、メルセデス勢がフェラーリ勢の前に出ることに成功します。一方アロンソは、最終コーナーでシューマッハー、続く1コーナーでロズベルグを攻略、一時は順位を4位に戻します。しかし4周目、濡れた路面に足をすくわれコースオフ、ロズベルグが再び4位にあがります。続く5周目、今度はトップのレッドブル・ベッテルが2コーナーでコースオフ、これによりハミルトンがトップに立ちます。
11周目にレッドブル・ウェバーがピットイン、これを皮切りに、同周マッサ、12周目バトン、13周目ハミルトン、ベッテル、アロンソがタイヤ交換を行います。そして14周目、ベッテルとバトンがテール・トゥ・ノーズで1コーナーに侵入し、続く2コーナーの手前でバトンがベッテルをオーバーテイク、2位に浮上します。またウェバーがアロンソを抜き、4位に順位を上げます。これによりオーダーは、ハミルトン、バトン、ベッテル、ウェバー、アロンソ、ロズベルグ、フォースインディア・ディ・レスタ、シューマッハー、マッサ、ザウバー・小林となります。
25周目、ルノー・ハイドフェルドがピットアウト直後に出火、ピットレーン出口を超えてすぐストップします。その後マシンは小さな爆発を起こしつつ炎上しますが、幸いハイドフェルドはマシンを止めた後すぐに脱出しており、大事には至りませんでした。直後、上位陣の2回目のピット作業が始まりますが、ここでは大きな順位変動はなく、37周目の3回目のピット作業まで、レースは順調に進みます。
37周目、ウェバーを抜きあぐねていたアロンソが、今度はウェバーより先にピットに入ります。そして40周目にウェバーがピットに入るまでタイムを稼ぎ出し、見事逆転に成功します。さらにアロンソは42周目にピットインしたベッテルまでも逆転、こうして43周目にバトンがピット作業を終えた時点でのオーダーは、ハミルトン、バトン、アロンソ、ベッテル、ウェバー、ロズベルグ、マッサ、トロロッソ・アルグエルスアリ、ルノー・ペトロフ、小林となります。
しかし順位はまだ落ち着きを見せず、45周目にはベッテルがアロンソをパス、3位に順位を上げます。そして47周目には、単独スピンしたハミルトンをバトンがパスし、トップ交代となります。しかし51周目、今度はバトンがコースオフ、再びハミルトンがトップに立ちます。続く52周目、バトンが1コーナーでハミルトンをパスしますが、続く2コーナーでハミルトンが三度抜き返します。両者一歩も譲らないバトルが続きますが、降り出した雨が、両者のバトルに決着をもたらします。52周目にいち早くウェバーがインターミディエイトに履き替えるや、53周目にはハミルトンがこれに続きます。一方のバトンはステイアウトを選択、両者の選択が分かれます。ここで雨足が強くなることを見込んだウェバーとハミルトンでしたが、雨はドライで走れなくなるほど強くはならず、ギャンブルは失敗します。こうして54周目に再度ドライタイヤに履き替えるためにピットイン、大きく順位を落とします。さらにハミルトンは、47周目の単独スピンにおいて、コースの真ん中でドーナツターンをしたことが、後続車への走行妨害と判定され、57周目にドライブスルー・ペナルティーを課せられます。こうしてバトン、ベッテル、アロンソ、マッサ、ウェバー、ハミルトン、小林、ブエミ、ディ・レスタ、アルグエルスアリのオーダーに代わります。
レース終盤、タイヤにタレが見えてきたマッサはウェバーとハミルトンに先行を許し6位に後退します。さらに小林も、ディレスタ、ブエミ、ロズベルグ、アルグエルスアリに立て続けに抜かれ、11位まで順位を落とします。
64周目、ハミルトンがウェバーを抜き、これを最後の順位変動として、70周のレースがチェッカーとなります。こうしてバトンが、自身200戦目のメモリアル・グランプリを優勝で締めくくり、2位ベッテル、3位アロンソのポディウムとなります。以下4位ハミルトン、5位ウェバー、6位マッサ、7位ディ・レスタ、8位ブエミ、9位ロズベルグ、10位アルグエルスアリとなります。小林は得点には一歩及ばず11位でした。
◇感想
2006年に自身初優勝を飾ったハンガロリンクで、200戦目のメモリアル・グランプリを優勝で飾ったバトン。実にドラマチックな展開となりました。しかも25年間のグランプリ開催で、ハンガロリンクに雨が降ったのはたった2回、そのいずれもバトンが優勝しており、雨がらみの難しいコンディションを的確に判断し、レースを組み立てる実力はさすがというべでしょうか。真夏のヨーロッパラウンド後半戦、バレンシア、シルバーストン、ニュルブルクリンク、そしてハンガロリンクの4戦で、ウィナー4人という混戦模様に、ベッテル独走に待ったがかかるのか、続くスパ、モンツァが楽しみです。