Round.20 ブラジルグランプリ
25.Nov.2012 : アウトードロモ・ホセ・カルロス・パーチェ
周回数 : 71周


◇予選

 2012年シーズンの最終戦、ポールを獲得したのはマクラーレン・ハミルトンでした。2位には同バトンが入り、マクラーレンがフロントローを独占します。3位はレッドブル・ウェバー、4位に同ベッテルが続きます。以下5位フェラーリ・マッサ、6位ウィリアムズ・マルドナド、7位フォースインディア・ヒュルケンベルグ、8位フェラーリ・アロンソ、9位ロータス・ライコネン、10位メルセデス・ロズベルグとなります。なお6位マルドナドは、累積ペナルティーにより10グリッド降格となります。このためフォースインディア・ディ・レスタが10位に繰り上がります。またザウバー・小林は15位でした(14位スタート)。



◇決勝

 スタートではフェラーリ勢が順位を上げ、レッドブル勢が順位を下げます。こうしてマクラーレン・ハミルトン、マクラーレン・バトン、フェラーリ・マッサ、レッドブル・ウェバー、フェラーリ・アロンソと続き、レッドブル・ベッテルは7位まで順位を下げてしまいます。 しかもレッドブル・ベッテルは、ウィリアムズ・セナと接触、その弾みでハーフスピンを喫してしまいます。一方のセナは接触によりはじき飛ばされ、ザウバー・ペレスに乗り上げてしまいます。この結果、ベッテルは最下位に転落、またセナとペレスはリタイヤとなります。
 2周目のメインストレート、ウェバーがマッサをアウトから抜こうとします。しかしここでアロンソが、イン側から2台を抜き去り3位に順位を上げます。またこの後、フォースインディア・ヒュルケンベルグが、マッサ、次いでウェバーを抜き、4位に順位を上げます。4周目、アロンソが雨に足を取られコースオフ、ヒュルケンベルグに先行されるとともに、ウェバーにも並びかけられます。しかしここはアロンソが踏ん張って、4位をキープすることとなります。そのウェバーでしたが、6周目にマッサに抜かれ、さらにザウバー・小林と接触してスピン、18位まで順位を下げてしまいます。
 8周目、雨足が強まった影響か、トップのハミルトンが体勢を崩し、その間にバトンがトップに立ちます。こうして9周目に小林、10周目にウェバー、11周目にハミルトン、アロンソ、ベッテルがピットイン、インターミディエイトに履き替えてコースに戻ります。一方ステイを選択したバトンとヒュルケンベルグでしたが、大きくラップタイムを落とすことなく雨足の強まった期間を乗り越え、雨足が弱まるとともに徐々に後続との差を広げてゆきます。そして19周目、ターン1でヒュルケンベルグがバトンをかわし、ラップリーダーに立ちます。一方後続では、タイヤをインターミディエイトからドライに変える動きが始まります。ここで19周目にハミルトン、アロンソ、小林、20周目にベッテル、ウェバー等がタイヤ交換となります。この作業も一段落した23周目、ロズベルグが破片を踏んでリアタイヤをバーストさせてしまいます。この破片を取り除くため、セフティーカーが入ります。この時点でヒュルケンベルグとバトンがピットインし、ヒュケンベルグ、バトン、ハミルトン、アロンソ、ベッテル、小林、ウェバー、フォースインディア・ディ・レスタ、トロロッソ・リチャルド、ロータス・ライコネンの順位となります。そして30周目のリスタートで、ベッテル、小林、ウェバーがスリーワイドとなり1コーナーへ、ここで小林がベッテルの前に出ることに成功します。31周目、ハミルトンがバトンをパスし、2位に順位を上げます。リスタートから素晴らしい追い上げを見せたのはマッサでした。30周目ライコネン、31周目にリチャルド、32周目にディ・レスタと毎周順位を上げ、34周目にはベッテルを抜き去ります。さらに37周目に小林をも抜き去り、5位まで順位を回復します。41周目、トップのヒュルケンベルグが体勢を崩し、ハミルトンに先行を許してしまいます。しかしペースはヒュルケンベルグが若干速く、54周目のターン1で、ヒュルケンベルグがハミルトンのインをつきます。しかしここで両者接触、ハミルトンはリタイヤしてしまいます。ヒュルケンベルグは周回に戻れたものの、この接触の原因を作ったとして、ピットスルーペナルティーを課せられ、表彰台圏内から脱落します。
 50周を過ぎたあたりから、再び雨が降り出し、各車インターミディエイトへの切り替えを行います。この結果、バトン、マッサ、アロンソ、ウェバー、ヒュルケンベルグ、メルセデス・シューマッハー、ベッテル、小林、トロロッソ・ベルニュ、ディ・レスタのオーダーとなります。そして62周目にはマッサがアロンソを前に出し、また64周目にはベッテルがシューマッハーをパスします。70周目、シューマッハーに迫った小林でしたが、インに飛び込むも軽く接触してスピンを喫し、ベルニュに抜かれてしまいます。そして71周目、ディ・レスタがウォールにクラッシュしてリタイヤとなり、ライコネンが10位に復帰します。
 こうして雨がらみの波乱のレースをバトンが制し、2位にはアロンソ、3位にはマッサが入りました。以下4位ウェバー、5位ヒュルケンベルグ、6位ベッテル、7位シューマッハー、8位ベルニュ、9位小林、10位ライコネンの結果となりました。
 この結果、ベッテルがアロンソをわずか3ポイント差で下し、選手権3連覇を達成しました。


◇感想

 まれに見る激戦となった、今年のF1。各車の性能差が縮まり、ウィナーが7人出るという混戦が、タイトルを最終戦までもつれさせた要因の一つといえるでしょう。その中で、ポイントの取りこぼしが少なく、最多の5勝を挙げたベッテルは、やはりチャンピオンにふさわしい戦い方をしたと言えるでしょう。
 そして敗れたとはいえ、性能で明らかに劣るマシンで、盤石の王者に3ポイント差まで詰め寄ったアロンソも、見事な戦いをしました。双方に拍手を送りたい気持ちです。
 そして最後に。日本GPで3位表彰台を獲得した小林可夢偉が、来期のエントリーを断念するという残念なニュースが飛び込んできました。2002年以来となる、フル参戦日本人ドライバー不在のシーズンは、ちょっと寂しいですね。


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