Round.1 オーストラリアグランプリ
07.Mar.1999 : アルバートパーク サーキット
◇予選グリッド
予選順位、1位ハッキネン、2位クルサードのマクラーレン勢、3位M・シューマッハーと続けば、今年も去年と同じくフェラーリ対マクラーレンの図式は変わらないように見えます。しかもマクラーレンは開幕戦には98年シャシーを使うという憶測をよそに、ニューシャシーたるMP4/14を投入してきました。その速いことといったら、昨年の開幕ダッシュの再来か?と思わせるに充分なパフォーマンスでした。
さて2強から目を移すと、見事にばらけています。まずはフォードの本格サポートを受けることとなったスチュワートのバリチェロ。30kgもの軽量化に成功したフォードCR-1エンジンは、ビッグ4の扉の鍵となるのでしょうか。5位にはジョーダンのフレンツェン、 6位アーバイン、7位フィジケラ、8位ウィリアムズ移籍のR・シューマッハーという順位。中盤グリッドのマシーンには、大きな差がないので大混戦が予想されます。
日本人として唯一のドライバー、アロウズの高木は17位スタート。ここからの巻き返しに期待です。
◇決勝
綺麗に晴れ渡ったアルバートパークで、今まさにレッドシグナルが消灯すると言う瞬間、何とスチュワートのハーバートとバリチェロのエンジントラブルによるイエローフラッグ。スタートはフォーメーションラップからの最スタートとなります。
そのフォーメーションラップで、なんとM・シューマッハーがリスタートできずに最後尾にまわるトラブルが発生します。
結局、M・シューマッハーと高木が最後尾からの、バリチェロがピットからの最スタートとなります。なお、ハーバートはスペアカーがあたらず、未走となります。
そして2回目のスタート。
難なくトップをキープしたマクラーレン勢が順調に飛ばし、昨年の開幕戦の再来を感じさせる速さを披露します。そのマクラーレンに暗雲が立ちこめたのが13周目、2位を走行していたクルサードが、油圧系統のトラブルでスローダウン、リタイヤとなります。また、BARのビルヌーブにリアウイングか吹き飛ぶというトラブルが発生、ビルヌーブはスピンを喫しガードに激突して止まります。この事故が原因でセフティーカーが導入、順調にタイムを稼いでいたハッキネンの貯金がなくなります。
そしてセフティーカーが去った直後、目を疑う事態が発生します。なんとハッキネンがスローダウン、先頭にはフェラーリのアーバインが立ちます。
順調に周回を重ねるアーバイン。後続のフレンツェン、トゥルーリ、R・シューマッハーも追走しますが、思うようにタイム差が縮まりません。ウィリアムズのザナルディーのスピンが原因で2回目のセフティーカーが導入されたトラブルにも動じず、結局アーバインが首位を明け渡すことなく優勝を飾りました。
2位はフレンツェン、3位はR・シューマッハーとドイツ人が並びます。高木は完走で7位。一時は5位を走行していただけに、やや残念です。
M・シューマッハーは、中盤にフロントウイング破損の破片を拾い右リアタイヤがバーストするトラブルと、終盤に電気系のトラブルが発生、余計なピットインを重ね最後尾の8位フィニッシュ。ファステストラップを繰り返し、首位アーバインに対し常に2秒近く速いラップで周回をこなしていただけに残念です。
◇感想
念願の初勝利を飾ったアーバイン。そしてノーポイントに終わったマクラーレンとM・シューマッハー。開幕戦としては最高の演出効果ではないでしょうか。
ただ、マクラーレンの2人とM・シューマッハーは、他のチームとはレベルが違うと言う事も証明されました。
結局33秒前半でラップを重ねることができたのは、この3人だけだったのですから。アーバインで34秒台、高木で36秒台。マシンの性能とタイヤのコンパウンドによってラップタイムは変わりますが、今年もこの3人がドライバーズタイトルに絡んでくることが必至でしょう。