Round.2 ブラジルグランプリ
11.Apr.1999 : ホセ・カルロスパーチャ サーキット


◇予選グリッド

 ポールポジションは、唯一1'16"5台を叩き出したハッキネン(マクラーレン)。セカンドグリッドにクルサード(同上)が続き、依然マクラーレンの速さが際だっていました。ちなみにハッキネンのポールタイムは、昨年のタイムを0.5"も上回るタイム。FIAはなんのためにフロントタイヤの溝を4本に増やしたのか判らないくらいです。
 3番グリッドには、開幕戦の好調を持続したバリチェロ(スチュワート)が入ります。地元出身のドライバーだけに、決勝の順位に期待が持てます。
 4番にはシューマッハー兄(フェラーリ)が来ます。ただしポールタイムからは1秒の遅れ。予選でのこのタイム差は、マシンのポテンシャルを端的に示していると言われ、決勝での逆転には難しいものがあります。
 中盤以降に目を移すと、昨年散々だったパニス(プロスト)が12位と復調の兆しが見れます。アレジ(ザウバー)は14位と低迷、それ以上に元カートチャンプ・ザナルディー(ウィリアムズ)が16位と未だF1とカートの違いに戸惑っている様子。
 終盤グリッドでは、相変わらずミナルディー勢とアロウズ勢の最下位争いが見られます。高木(アロウズ)は、同僚デ・ラ・ロサに0.1秒差で19位。ここからでは完走が精一杯でしょう。今回、テスト中にケガをしたミナルディーのバドエルに代わって、ステファン・サラザン(フランス、24歳)がステアリングを握ることとなりました。
 なお、BARのビルヌーヴは燃料違反のため最後尾からのスタート。また同じくBARのゾンダはフリー走行中のクラッシュで、予選決勝とも出走できませんでした。


◇決勝

 予選のインターミディエイトのコンディションから一転、決勝は晴れのコンディションで始まります。雨頼みのシューマッハー兄にとっては辛いコンディションとなります。加えてフェラーリはマクラーレンに比べ、タイヤのたれが早いと言われているだけに、気温の上昇はより不利な条件になります。
 フォーメーションラップでは、オーストラリアで見られたようなトラブルもなく、無事に全車スタートを待つかに見えました。しかしレッドシグナルが消えたとき、クルサードがスタートできないというトラブルに見舞われます。結局クルサードはオフィシャルによりピットまで戻され、再スタート。コースに復帰した時には早くも3周遅れにされていました。
 オープニングラップを制したのは、PPからのスタートだったハッキネン。続いて地元バリチェロ、シューマッハー兄、アーバインと続きます。しかしハッキネンの首位も長くは続きませんでした。クルサードが3周遅れでシューマッハー兄の前に復帰したとき、ハッキネンがまさかのスローダウン。ペースはすぐに戻ったものの、シューマッハーに先行されてしまいます。そして、ラップリーダーにはバリチェロがつきます。彼はピットストップの27周目までトップを守ります。
 2ストップ作戦をとったバリチェロがピットインした間に、トップに立ったのはシューマッハー兄、それをハッキネンが追う展開となります。しかし予選でのタイム差は何処へやら、ハッキネンはシューマッハーを捉えきることができません。それどころかバックマーカーに捕まる度にじわりじわりと離されてしまいます。
 そのハッキネンに転機が訪れたのは38周目、シューマッハーがピットインし前方がクリアになった瞬間から、予選の速さが戻ってきます。結局32秒の差をシューマッハーにつけた時点で(アーバインにブロックされた経緯もあって)ピットイン。9"1で送り出したピットクルーに応えて、トップで周回に戻ります。
 順調にトップを快走するハッキネンの陰で、レース前半の立役者バリチェロがエンジントラブルで戦線を去ります。トラブル時(42周)バリチェロは3位。残念な結果となってしまいました。
 その後49周にビルヌーヴ、52周に高木のチームメイト、デ・ラ・ロサがリタイヤ、レースはオーストラリアに継ぐサバイバルレース模様を呈してきます。結局このレースの完走は9台。このサバイバルを制したのはハッキネンとなりました。2位にシューマッハー兄、3位にフレンツェン、以下シューマッハー弟、アーバイン、パニス、ブルツ、高木、ジェネと続きます。フレンツェンは2戦連続表彰台、高木も連続完走となりました。
 結果、アーバインがドライバーズポイント12で、次回サンマリノグランプリをポイントリーダーとして迎えることとなりました。


◇感想

 速くて脆いマクラーレン、速度は一歩譲るものの信頼性抜群のフェラーリ。この構図のまま、ヨーロッパラウンド迎えることとなりました。トップスピードが7km/hも遅いパッケージでは、さすがのシューマッハーと言えども厳しいものがあります。厳しいと言えばもう一人、ウィリアムズのザナルディー。そろそろ結果を出しておかないと、カートチャンプの肩書きが泣きます。逆に絶好調のスチュワート。信頼性を確保できたなら、ヨーロッパでは大化けする可能性もあります。
 次回サンマリノまで3週間。何処まで対策できるかが、チャンピオンシップの行方を左右することになるでしょう。


[ Back ]