Round.3 サンマリノグランプリ
02.May.1999 : アウトドローモ・エンツォ・エ・ディノ・フェラーリ


◇予選グリッド

 再び約1ヶ月のブランクの後、第2の開幕戦と言われるヨーロッパラウンドの第1戦目、サンマリノグランプリの始まりです。
 予選で目を見張ったのは、地元でありサーキットの名称にもなっているフェラーリ陣営のリカバリーでした。オーストラリア・ブラジルと、常に1秒近いタイム差をつけられていたマクラーレンに対し、とうとう0.176秒差にまで詰め寄ります。このパフォーマンスには「まだまだ差は大きい」と予選後語っていたミハエル・シューマッハーもまんざらでない様子でした。それもそのはず、昨年は0.5秒差程度なら、逆転に結びつけたレースもあったのですから。
 結局はマクラーレンの1-2でしたが、その実力差は着実に縮んで来ています。
 予選の結果は、ハッキネン、クルサード、シューマッハー兄、アーバインとマクラーレン、フェラーリが2列目までを確保、ついでBARのビルヌーブとスチュワートのバリチェロがつけます。ビルヌーブはBARが1年目のチームであり、1からのシャシー設計であったことを考慮すると、望みうる最高のグリッドを手に入れたことになります。バリチェロは前戦までの好調を維持、予選では強いスチュワート(フォードエンジン)を印象づけます。その後ジョーダン、ウィリアムズと続きトップ10となります。驚いたのはベネトン、16位フィジケラ・17位ブルツは実力からすると信じられません。なお日本の高木は20位でした。また負傷したBARゾンダに代わって、ミカ・サロが23番車に乗り、19番グリットからのスタートとなります。


◇決勝

 オーストラリア・ブラジルと続いたスタートのトラブルでしたが、今回に限り大きなトラブルがなくスタートとなります。ただし予選5番のBARビルヌーブはスタートできず、0周リタイヤとなってしまいます。またビルヌーブストップのとばっちりで、奇数グリッドスタートのドライバーは軒並み順位を下げてしまいます。結果、オープニングラップはマクラーレンのハッキネン、クルサード、フェラーリのシューマッハー兄、アーバイン、ジョーダン・フレンツェン、スチュワート・バリチェロの順になります。スタートに成功したベネトン・フィジケラは16位から12位へジャンプアップ、アロウズ・高木も20位から16位とスタートダッシュに成功します。
 10ラップを消化して、先頭は順調に飛ばしていくハッキネンで変わりません。ハッキネンは3位シューマッハー兄に対し、1周約1秒近くもの大差を付けて先頭を突っ走っていきます。クルサードも順調に走っているのですが、シューマッハー兄との差はハッキネンほど広がりません。
 さてレースの動きは、以外と早い時期に訪れました。17周目、快調にトップを独走するハッキネンでしたが、最終コーナーをパスした際、縁石上でバランスを崩してしまいます。カウンターをあてて体勢を立て直すも、タイヤが縁石からアスファルトに戻った瞬間に戻ったグリップのために、路外にはじき出されてしまいます。結局タイヤウォールに激突、あっけなくリタイヤとなってしまいました。
 そのハッキネンに代わってトップに立ったクルサードでしたが、周回遅れの車に前を阻まれて、思うようにペースがあがりません。そして30周目、フェラーリが動きます。ピットストップのシューマッハー兄でしたが、制止時間はわずか6秒。まさかの2ストップ作戦への変更です。その直後32周目にクルサードがピットインするものの、シューマッハー兄の前に出ることはできませんでした。
 一方のシューマッハー兄でしたが、ガソリンが尽きる50周までに、クルサードに対して少なくとも20秒のタイム差をつけなければ、2回目のピットストップの後クルサードの前に出ることはできません。そのため猛ダッシュをかけます。ベネトン・フィジケラとプロスト・パニスの10位争いに巻き込まれて、なかなかペースがあがらないクルサードに対し、シューマッハー兄はラップタイムで3秒の差をつけていきます。
 そして45周目、フィジケラ、パニスを抜けなくてミスを繰り返したクルサードに対し、20秒以上の差をつけてシューマッハー兄がピットイン。再び6秒台のピット作業で送り出したフェラーリのクルーの助けもあって、無事トップでレースに復帰します。
 結局残り17周を走りきったシューマッハー兄が今期初優勝を果たします。2位はフェラーリの戦略にまんまと勝利を逃してしまったクルサード、3位にはバリチェロが来ます。4位にジョーダン・ヒルが、ついでベネトン・フィジケラ、ザウバー・アレジと続きます。ここら辺は、レース終盤に入賞圏を走っていたフェラーリ・アーバイン、ジョーダン・フレンツェン、ウィリアムズ・ザナルディーが相次いでリタイヤしたおかげでしょう。
 高木は序盤でパニスを抜いて14位まで順位を上げたものの、自身のミスやピット作業のミスで最後尾まで順位を下げてしまいます。結局29周目にクラッチトラブルからリタイヤとなってしまいました。


◇感想

 早くも3戦目で、マクラーレンとの差を僅差にまで縮めたフェラーリ。しかも今年のマクラーレンには、貯金が全くありません。昨年は貯金を食いつぶす形で中盤戦を戦ったマクラーレンだけに、モナコで勝てるかどうかで今シーズンのチャンピオンシップの行方が決まってしまいそうです。モナコをフェラーリが勝つことになると、シューマッハー兄とアーバインのチャンピオンシップ争いなんてことも起きうる状況です。
 コンストラクター3位以下では、ベネトンの絶不調に対しジョーダン、スチュワートのデキが予想以上にいい状態です。特にスチュワートは、開幕戦に継ぐポイントを3位表彰台でゲットしました。ポイントでもフェラーリ、マクラーレン、ジョーダン、ウィリアムズ、スチュワート、ベネトンとなり、混沌(ウィリアムズ以下はそれぞれ1ポイント差しかない)としてきました。


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