Round.7 フランスグランプリ
27.Jun.1999 : サーキット・デ・マニ・クール


◇予選グリッド

 土砂降りの雨の中行われた予選。予想通りグリッドに大きな「異変」が見られました。
 フロントローの常連・マクラーレン&フェラーリが、大きく順位を落としたのです。雨の予選の中、ポールを取ったのは、予選開始後早々にアタックを行ったスチュワート・バリチェロでした。自身94年のベルギーグランプリ以来2度目、そしてジャッキー・スチュワート率いるスチュワートチームでは始めての快挙でした。
 セカンドグリッドは、雨を得意とし、ここフランスが母国グランプリである、ザウバー・アレジ。3位には、同じくここが母国のプロスト・パニスが続きます。プロストはほぼ純フランスチームなので、活躍に期待がかかります。
 4位にマクラーレン・クルサード、5位にジョーダン・フレンツェンがつけ、6位にようやくフェラーリ・シューマッハー兄が滑り込みます。一方現ポイントリーダーのマクラーレン・ハッキネンは何と14位、フェラーリ・アーバインに至っては17位と大低迷です。またトップタイムから107%を超えたドライバーは、ジョーダン・ヒル等5人を数えました。本来は予選落ちのタイムなのですが、今回は天候不順と言うことで出走を認められています。

◇決勝

 曇天の中、フランスグランプリのスタートが切られます。大きなトラブルなしにスタートした各車でしたが、好スタートを決めた14位マクラーレン・ハッキネンが9位にジャンプアップ、ジョーダン・フレンツェンとマクラーレン・クルサードも、やや出遅れたプロスト・パニスをパスして順位を1つずつあげることに成功します。
 序盤の主役はクルサードでして、2周目にはバックストレートのゴルフカーブでザウバー・アレジをパス。これで2位に上がります。6周目にはトップのスチュワート・バリチェロを、アデレードヘアピンの侵入と、続く加速でパス、トップに躍り出ます。ですが快調に飛ばすのもつかの間、わずか4周後にはトラブルでマシンを止めてしまいます。
 次の主役はハッキネン。5周目に7位まで順位を上げていたハッキネンは、10周目にシューマッハー兄をパス(アデレード)、これで5位。同じ周クルサードリタイヤで4位へ。15周目にはフレンツェンをパス(アデレード)して3位。19周目にはブレーキ合戦の末、タイヤスモークを上げて抵抗するザウバー・アレジをパス、ついに2位まで奪回します。
 そして、予想通り雨が降り出します。
 19周辺りから降り出した雨は、21周には本格的になり、たまらずフェラーリ・アーバインがタイヤ交換にピットインします。が、タイヤの準備ができておらず、40秒以上も足止めをくらいます。その後22周になると、アレジ、バリチェロ、ハッキネン、フレンツェン、シューマッハー兄等ほとんどのドライバーがタイヤ交換のためピットに入ります。雨はどんどん激しくなり、24周目を迎える頃には昨年のベルギーグランプリを思わせる土砂降りに豹変します。ここで、アレジがスピンアウト、直後セフティーカーが導入されます。
 約10周に渡って、セフティーカーの先導で進められたレースでしたが、35周目にリスタートを迎えます。
 トップにバリチェロ、2位ハッキネン、3位フレンツェンのオーダーで再開されたレースでしたが、38周目、ハッキネンがアデレードでスピン、あっと言う間に8位まで順位を下げてしまいます。
 ここからの主役はシューマッハー兄に代わります。39周にフレンツェンをパスして2位に上がったシューマッハー兄は、バリチェロと激しいトップ争いを演じます。アデレードのインで抜いて、アウトで抜き返されてを4周に渡って繰り返し、44周目についにトップに立ちます。54周目、シューマッハー兄は給油のためにピットインします。が、フレンツェンにはピットインの動きは見られません。64周目、ハッキネンとバリチェロもピットインしますが、未だフレンツェン動かず、オーダーは1位フレンツェン、2位ハッキネン、3位バリチェロ、4位シューマッハー兄となります(61周目にハッキネンはバリチェロを抜いて2位に上がっています)。
 結局、完走した12台の中で、唯一1回ストップの作戦をとったフレンツェンが、そのまま1位でフィニッシュ、最後に主役になります。その後の順位は、ハッキネン、バリチェロ、シューマッハー弟と続きます。後半ステアリングの電子装置に異常をきたしたシューマッハー兄は5位、アーバインが6位となりました。母国グランプリで期待のかかったパニスは8位、アロウズ・高木は11位の結果でした。


◇感想

 今回の見所は、何と言ってもバックストレートエンドのアデレードヘアピンの飛び込みであり、唯一のパッシングポイントと言うことで、多くの名勝負が見られました。その後のニュルブルクリンクと180Rに続くコーナまで、サイド・バイ・サイドのバトルがみられ、近年になくパッシングシーンの多いグランプリになりました。
 ですが悲しいこともありました。ジョーダン・ヒルが引退を発表。またレース後、このレースが最後になるかも知れないと語ったのです。次はヒルの母国グランプリであるイギリスですから、是非まだ走り続けてもらいたいものです。


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