Round.8 イギリスグランプリ
11.Jul.1999 : シルバーストン・サーキット


◇予選グリッド

 晴れたときの予選では、予選トップグリッドに伏兵が来るという期待は無理になっているのでしょうか。今回もフロント&セカンドローは銀と赤で占められました。ポールポジションがマクラーレン・ハッキネン、2位がフェラーリ・シューマッハー兄、3位マクラーレン・クルサード、4位フェラーリ・アーバインのいつものサンドイッチです。
 サードローには好調ジョーダン勢がつけます。前戦フランスグランプリのウィナーであるフレンツェンが5位、このレースで引退を表明しているヒルが、今期ベストグリッドの6位からのスタートになります。7位にはスチュワート・バリチェロ、8位にはウィリアムズ・シューマッハー弟、9位にBAR・ビルヌーブ、10位ザウバー・アレジのトップ10でした。
 チーム状態が最悪なのがベネトン。17位フィジケラ、18位ブルツと屈辱の9列目スタートとなってしまいます。アロウズ高木はブルツの後ろ、19位スタートで上位をうかがうというところです。

◇決勝

 晴天の中スターティング・グリッドについた各マシンでしたが、スタート直前に後方でミナルディー(?)のマシンがエンジンストール、好スタートを切ったマクラーレン勢には痛恨のレッドフラッグ、再スタートになってしまいます。が、悲劇はここで発生しました。やや出遅れたフェラーリ・シューマッハー兄が僚友アーバインを抜いた直後、彼のマシンはコントロールを失い、ハンガーストレートのエンドからストウコーナーのグラベルを突っ切る形でタイヤバリアへ激突したのです。ほぼ直角に突っ込んだシューマッハー兄のマシンは、フロントがほとんどなくなるほどの衝撃を受け、彼自身もメディカルセンターに運ばれ、レース再開直後にロンドン市内の病院に急送されるという事態になります。
 さて、再開されたレースですが、マクラーレン・ハッキネンは無難にスタートを切ったのですが、僚友クルサードが出遅れ、フェラーリ・アーバインが2位にポジションアップします。その後方では、アロウズ・デ・ラ・ロサがエンジンストール、このマシンを避けるために2周目セフティーカーが導入されます。
 セフティーカーは3周目に退き、レースが再開されます。トップのハッキネン、2位アーバイン、3位クルサードの順位は変わらず、最初のピットストップ時期を迎えます。20周目、ミナルディー・ジェネを筆頭に、26周目アーバインのピットインで、各陣営最初のピット作業を終えます。ここで特筆すべきは、マクラーレン勢のピット作業でした。クルサードを7.6秒のショート給油でピットから送り出したクルーの努力で、クルサードは、翌周ピット作業を行ったアーバインを僅差でかわしトップを奪うことに成功したのです。マクラーレン1-2完成か?と思わせた矢先、一方のハッキネンが、再ピットインするアクシデント(右リアタイヤの交換・27.6秒)が発生します。これで順位を大きく落としたハッキネンでしたが、その後はファステストラップを記録、追撃態勢に入ります。ですが30周目、ウッドコートコーナーの手前で右リアタイヤが脱落、3度ピットインとなります。ハッキネンはその後も良いところがなく、36周目にガレージインとなり、リタイヤします。
 その後レースをリードしたのは、クルサード。上位陣が2回目のピット作業を行う合間、ピット作業を遅らせたジョーダン・ヒルが暫定トップに立つという粋な計らいがあったものの、大きく順位が入れ替わることなく、イギリスグランプリは終了します。
 優勝はクルサード、2位アーバイン、3位ウィリアムズ・シューマッハー弟、4位ジョーダン・フレンツェン、5位ヒル、6位ザウバー・ディニス、7位ベネトン・フィジケラ、8位スチュワート・バリチェロ、9位プロスト・トゥルーリ、10位ベネトン・ブルツのトップ10でした。


◇感想

 96年ワールドチャンピオンのデイモン・ヒルが、母国グランプリたるイギリスグランプリでレースを終えました。このラストレースで5位入賞、ポイントゲットは流石は元チャンプと言ったところでしょうか
 一方、今年のチャンプ候補たるミハエル・シューマッハーですが、右足骨折全治6〜8週間と診断され、復帰は早くても第12戦ベルギーグランプリ、おそらくは第13戦イタリアグランプリからではないでしょうか。つまり6戦もの間ノーポイントになることになります。これは今期チャンピオンを目指していたシューマッハーにとっては致命傷になりかねず、ここにハッキネンの連続チャンプの可能性が大きくなりました。そうならないためにも、クルサード、アーバインの「暴れ」に期待したいところです。


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