Round.9 オーストリアグランプリ
25.Jul.1999 : A−1リンク


◇予選グリッド

 高速サーキットを得意とするマクラーレン。その真価を遺憾なく発揮し、ハッキネンがポールを、クルサードがセカンドをがっちりキープします。ケガでシューマッハー兄を欠くフェラーリ。その結果急遽ファーストドライバーに昇格したアーバインが3位を取ります。4位はジョーダン・フレンツェンが、ケガにも関わらず入ります。サードローは高速コースを得意とするスチュワート勢の独占でした。フェラーリに続く上方排気を導入し、軽量エンジンを投入した甲斐があってか、5位バリチェロ、6位ハーバートとなります。7位にはシューマッハー兄の代役、フェラーリ・サロが、8位はウィリアムズ・シューマッハー弟、9位はBAR・ビルヌーブ、10位地元のベネトン・ブルツの予選順位でした。
 なおアロウズ・高木は20位からのスタートです。

◇決勝

 大きな混乱もなくスタートが切られます。まずは予選順位の通り、トップが第一コーナー「カストロール・カーブ」を抜けていきます。しかしこのレースを決定づける事態が、第2コーナー「レムス・コーナー」で起こってしまいます。まさかのマクラーレン2台の接触。クルサードが強引にハッキネンのインを突き、これで弾かれスピンを喫したハッキネンは、何と最下位まで転落するのです。クルサードはなんとか留まったものの、突然のスローダウンにフェラーリ・アーバインがスチュワート・バリチェロにかわされ3位へ、また後続では、フェラーリ・サロとスチュワート・ハーバートの接触などで早々のピットストップを余儀なくされます。
 ですが前半戦の主役は、間違いなくマクラーレンの2台でした。トップを走るクルサードは、毎周2位バリチェロを1秒近く引き離す快走を見せ、一方のハッキネンは怒濤のゴボウ抜きを演じるのです。5周目、クルサードが後続に5秒以上の差をつけていた頃、ハッキネンは早くも7台を抜いて15位に上がります。そして15周目、ハッキネンはとうとうトップ10に返り咲くのです。
 15周目、ザウバー陣営がピット作業を開始します。しかし、その他の陣営は動かず。すなわちザウバーのみ2ストップ、残りは1ストップ作戦であることがはっきりしました。そのため上位陣がピット作業を開始したのは38周目以降になりました。
 38周バリチェロ、39周クルサード、40周ハッキネン、42周サロと続いて、44周目ついにアーバインがピットに納まります。自己ベストを更新しつつ走ったこの数周で、クルサードとの差は20秒強。ピット作業如何では、十分逆転可能なタイム差です。この一大事にフェラーリのクルーは応え、わずか8.6秒でアーバインを送り出します。結果1秒以上の差でトップをキープする事になりました。
 ここからはアーバインとクルサードの一騎打ち。じわりじわりと差を詰めるクルサードでしたが、アーバインを捉えるまでには至りません。それでも67周目には0.6秒差、次の周には0.5秒台まで差を詰めます。しかしテール・トゥ・ノーズにまでは詰め寄ることができず、ファイナルラップを迎えます。結局、アーバインが今期2勝目をあげ、クルサードは0.3秒差で2位でした。3位は追い上が見事だったハッキネン、4位はジョーダン・フレンツェン、地元で嬉しい5位はベネトン・ブルツ、6位2ストップ作戦のザウバー・ディニスでした。以下プロスト・トゥルーリ、ジョーダン・ヒル、フェラーリ・サロ、プロスト・パニスのトップ10でした。、
 なおアロウズ・高木は、エンジントラブルで25周目リタイヤでした。


◇感想

 アーバインが今期2勝目で取得ポイントを42ポイントにのばし、ポイントリーダーハッキネンの44ポイントに急接近。シューマッハーがいなくても、チャンピオンシップは飽きさせないようです。今回は接触により10ポイントをみすみす逃した感のあるハッキネン。次はメルセデスの地元、かつ名だたる高速サーキットであるホッケンハイム・ドイツグランプリなので、やや有利でしょうか。
 とにかく後半戦、目が離せない展開になりつつあるのは確かです。
 それとシューマッハーの代役のサロ。ほとんどマシンにさわることなく、予選7位・決勝9位は十分でないでしょうか。個人的意見では、サロは速いドライバーだと思っていますので、ここでアピールに成功したならば、あるいは来期のシートを得ることになるかも知れません。フェラーリは無理だとしても、ヒルの後がまとしてジョーダンに納まる可能性は出てくるでしょう。


[ Back ]