Round.10 ドイツグランプリ
01.Aug.1999 : ホッケンハイム


◇予選グリッド

 F1サーカス随一の超高速サーキット・ホッケンハイム。エンジンパワーに勝るマクラーレンが有利との予想でしたが、見事ハッキネンがポールを獲得、チームに通算100回目となるポールポジションをプレゼントします。
 セカンドローには、移籍後初フロントスタートの、ジョーダン・フレンツェンが入り、マクラーレン・クルサードを3位に押しやりました。4位にはフェラーリ2戦目のサロが、5位には同じくフェラーリ・アーバイン、6位バリチェロと続きます。中盤以降で目立ったのは、ミナルディー・ジェネが、今期チーム最高位、勿論自身最高位の15番グリットを手にしたことと、ザウバー・アレジが、自己ワーストの21位スタートとなったことでしょうか。
 アロウズ高木は最後位からの追い上げとなります。


◇決勝

 スタートでは、2位以下順位変動がありました。まずマクラーレン・ハッキネンが順当にスタートを切りましたが、ジョーダン・フレンツェンが失速、2位から4位に落ちてしまいます。そこのため行き場を失ったフェラーリ・アーバインがスチュワート・バリチェロにかわされ6位にダウン。そして混戦の中第1コーナにさしかかります。その際、後続ではトラブルが発生しました。BAR・ビルヌーブがブレーキングで姿勢を崩し、そのまま前方を走るザウバー・ディニスに衝突、2台は絡みながらタイヤバリアへと突っ込みます。
 オープニングラップを制したのはハッキネン、ついでフェラーリ・サロ、マクラーレン・クルサード、フレンツェン、バリチェロ、アーバインの順で周回を重ねていきます。
 3周目フレンツェンをかわして4位に上がったバリチェロでしたが、6周目エンジントラブルによりスローダウン、ここでレースを終えます。ついで10周目、2位争いをしていたサロとクルサードが接触、フロントウイングを破損したクルサードはピットへ。11位まで順位を落としてしまいます。
 マクラーレンは今レース、完全にツキに見放されていたようです。トップで周回を重ねていたハッキネンが給油とタイヤ交換のためにピットインしたのは24周目。フェラーリ勢は既に給油を終えているため、トップ復帰は間違いないと思われていた矢先、給油口にホースがつながらないアクシデントが発生、急遽クルサード用の給油機で給油を済ませましたが、ピットストップに要した時間は24.3秒。4位復帰が精一杯でした。また5位まで順位を回復していたクルサードに、シケインショートカットのペナルティーストップが課せられます。
 そして最後の不運は、25周目におこります。フレンツェンをかわして3位に上がった直後、ハッキネンの左リアからサスペンションと思われる部品が脱落、リアウイングを破壊し、タイヤを切り裂きながら、マシンはコマのように回りつつタイヤバリアへと突っ込みます。幸いハッキネンは無事でしたが、イギリスのシューマッハーの事故を思い浮かばせる事故でした。
 その後はサロがアーバインにトップを譲った以外、大きな順位変動がなく進みます。
 レース後半、クルサードがファステストラップを更新しながら猛チャージをかけますが、続いたミスを取り戻すには至らず、結局フレンツェンを押さえきったフェラーリ勢が、アーバイン−サロの1-2フィニッシュを決めました。
 4位にはウィリアムズ・シューマッハー弟、5位に何とかポイントゲットのクルサード、6位にプロスト・パニスが入りました。終盤までポイント圏内を走っていたスチュワート・ハーバートはエンジントラブルにより11位完走扱い、アロウズ・高木は16周目エンジンブローでリタイヤの結果でした。


◇感想

 シューマッハー兄不在で、ハッキネンでほぼ確定と思われていたタイトルですが、ここに来てアーバインが2連勝でポイントリーダーに返り咲き、またサロも確実に2位完走と、フェラーリダブルタイトルも夢でなくなりつつあります。次はテクニカルコースであるハンガロリンク。マシンの仕上がりでマクラーレン有利は変わりませんが、流れはフェラーリにあります。ここでハッキネンが勝てないと、アーバインのシリーズ制覇に俄然現実味が増してきます。
 ところで、ハンガロリンクはヒルが得意としているコースでもあります。97年のアロウズ・ヤマハでの2位は記憶に新しいことでしょう。元気のないヒルだけに、奮起を期待します。


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