Round.13 イタリアグランプリ
12.Sep.1999 : アウトドローモ・ナツィオナーレ・ディ・モンツァ


◇予選グリッド

 今やポールポジションは指定席となった感のあるマクラーレンのハッキネン、今回も異次元の速さを見せつけ今季11回目のポールポジションを得ます。2位には無限ホンダの用意した予選用スペシャルエンジンの力を十二分に出し切ったジョーダン・フレンツェンが入ります。3位にはマクラーレン・クルサードが、4位・5位はウィリアムズ勢がつけます。特に今季予選最高位を得た4位ザナルディはイタリア母国グランプリ。大いに沸かせてくれそうです。
 一方のフェラーリ勢はサロ6位、アーバイン8位と出遅れます。ここからの逆転には、厳しいものがあります。
 アロウズ・高木は最後尾からのスタートです。


◇決勝

 スタートでは、ポールのマクラレーン・ハッキネンがトップを守ります。ジョーダン・フレンツェンはやや出遅れたものの、好リカバリを見せ、第2シケイン・ロッジアまでに順位を戻します。逆に良いスタートを切ったものの、スピードののびないマクラーレン・クルサードは6位までドロップダウン、オープニングラップはハッキネン、フレンツェン、ウィリアムズ・ザナルディ、同じくウィリアムズ・シューマッハー弟、フェラーリ・サロ、クルサードとなります。
 レース前半を魅せてくれたのは、来期フェラーリのシートを得たスチュワートのバリチェロでした。予選7位からのスタートだったバリチェロは、抜きづらいと言われるこのモンツァで、次々とパッシングを見せるのです。11周目には6位クルサードをかわし、19周目にはサロをかわし5位に、そして26周目にはややスピードが乗らないザナルディーを抜き去り4位まで順位を上げます。
 一方悠々と首位を独走しつつあったハッキネンに、30周目悪夢がおそいます。第1シケイン(グッドイヤー)で、こともあろうか単独スピン、グラベルに車を止めてしまいます。自分のミスがよっぽど悔しかったのか、ステアリングを投げ捨て、グローブをたたきつけ、そして観客の目をさけるかのごとく木々に身を隠したハッキネン。彼は落としたポイントの大きさに、あたかも今シーズンのタイトルを失ったかのごとく涙するのです・・・。
 主役ハッキネンの退場により、俄然活気がでてきたグランプリ。各陣営がピットストップを終え、順位が整理された40周目、トップにはフレンツェンがたっていました。2位にはシューマッハー弟が、3位サロがつけます。ついでバリチェロ、クルサード、アーバインの順で周回を重ねます。
 レース後半から終盤の見所は、4位争い、バリチェロとクルサードのバトルでした。ピットアウトした37周目から、ファイナルラップに至るまで、テール・トゥ・ノーズの状態が続きます。ですがバリチェロはトップスピードの乗らないクルサードを完全に押さえきります。結局大きな順位変動は起こらず、フレンツェンが今季2勝目をあげ、シューマッハー弟が2位、サロが3位に入ります。以下4位バリチェロ、5位クルサード、6位フェラーリ・アーバイン、7位ザナルディー、8位2戦連続完走のBARビルヌーブ、9位ザウバー・アレジ、10位ジョーダン・ヒルでレースを終えます。  アロウズ・高木は、24周目グッドイヤー・シケインでミナルディー・バドエルに乗り上げ、フロントウイングを失うダメージを受けましたが、何とか戦線復帰できます。ですが36周目、同じくグッドイヤー・シケインで単独スピンを喫し、レースを終えています。


◇感想

 タイトル防衛に、あまりに痛いレースを落としたハッキネン。かろうじて6位に入賞し、1ポイントをゲットしたアーバインに再びチャンピオンシップタイトルで並ばれてしまいます。昨年、楽勝のレースと思われていた雨のスパで、自らの判断ミスで10ポイントを失ったシューマッハー兄とだぶって見えるのは私だけでしょうか。これでタイトルを逃すようなことがあれば、このモンツァが一つのターニングポイントだったと言われるでしょう。
 これで12ポイントの間にハッキネン、アーバイン、フレンツェン、クルサードが入ることとなり、タイトルの行方は混沌としてきました。ただしハッキネン有利(マシンポテンシャルの高さ)は変わらないのですが・・・。


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