Round.14 ヨーロッパグランプリ
26.Sep.1999 : ニュルブルクリンク


◇予選グリッド

 雨→ドライとコース状況が刻一刻と変化する予選。コースコンディションを的確に捉え、スーパーラップをもぎ取ったジョーダン・フレンツェンが、自身4度目・ジョーダン及び無限エンジン初のポールポジションを獲得します。2位にはマクラーレン・クルサードが、3位には7戦連続ポールを阻止されたマクラーレン・ハッキネンがつけます。以下ウィリアムズ・シューマッハー弟、プロスト・パニス、ベネトン・フィジケラと続きます。
 一方、もう一人のポイントリーダーたるフェラーリ・アーバインは9位に、同僚のサロは12位にと、フェラーリ勢はシューマッハー兄がいた頃の勢いはありません。もっともアーバインは、予選セッションで雨が続くと踏んで、ソフトタイヤ(このサーキットにブリヂストンは「エキストラソフト」と「ソフト」を持ち込んでおり、より堅いコンパウンドのタイヤが「ソフト」)をチョイスしており、予選では不利だったとも言えます。
 なおアロウズ・高木は21番からのスタートとなります。

◇決勝

 スタートは後方ミナルディー・ジェネがストールのためスタートできず、それが原因でスタート無効となってしまいます。5分後再スタートとなりますが、第1コーナーを抜けたあたりでクラッシュが発生します。ジョーダン・ヒルがスローダウン、それに追突する形でベネトン・ブルツがコースアウト。そのときにザウバー・ディニスをプッシュしてしまい、ディニスはマシンごとひっくり返ってしまいます。担架で運ばれたディニスでしたが、幸い大事に至ることはありませんでした。なおウィリアムズ・ザナルディーも巻き込まれる形でコースオフ、レースを終えています。
 このクラッシュの結果、6周目までセフティカー先導でレースが続けられます。セフティーカーが去った7周から、レースは再開され、ジョーダン・フレンツェン、マクラーレン・ハッキネン、同クルサード、ウィリアムズ・シューマッハー弟、ベネトン・フィジケラ、プロスト・パニスのトップ6で周回が続きます。が、15周目過ぎ、レースを大混乱に陥れる事態が発生します。
 突然降り出した雨に、ピットは大混乱。ハッキネン、フェラーリ・サロとレインタイヤに履き替えますが、アーバインがピットに入る頃、雨は小降りに。しかしピットではドライタイヤとレインタイヤがまぜこぜになっており、貴重な時間をアーバインは空費してしまいます。雨は通り雨で見る見る乾いていく路面。ドライタイヤで踏ん張ったフレンツェン、シューマッハー弟、クルサード、フィジケラ等がトップ集団を形成する事となります。一方のハッキネンとアーバインは10位前後と、完全に出遅れます。
 今回のレースは、トップ周回者に突然の不幸が訪れるレースでもありました。32周目、1回目のピットストップを終え、トップで周回に復帰したフレンツェンがまさかのスローダウン。ギアボックストラブルでレースを終えます。これでトップに立ったクルサードですが、今度は36周目、再び降り出した雨に足下をすくわれのか、コーナーを真っ直ぐにオーバーラン、タイヤバリアに衝突しリタイアとなります。その結果トップに立ったフィジケラでしたが、48周目に体勢を崩しスピンアウト。グラベルに車を止めます。次にトップに立ったのはシューマッハー弟。ですが49周目、右リアがバースト、ピットインする間に4位まで順位を下げてしまいます。そしてスチュワート・ハーバートがトップに残ったのです。
 結果ハーバートが自身3度目の、そしてスチュワート参戦3年目にして初めての優勝を飾りました。2位には終盤バリチェロの攻撃をかわしきったトゥルーリが、3位にはバリチェロ、4位シューマッハー弟が入ります。5位には終盤のアーバインとのポイント争いにうち勝ったハッキネンがかろうじて入り、6位にはジェネが入り、自身初の、またミナルディーに4年ぶりとなる入賞をもたらしました。


◇感想

 雨がレースを荒れさせ、そしてベテラン・ハーバートの優勝というドラマティックな結末を用意していました。一方敗者に目を転じると、このレースはフェラーリのどたばたが目立ったとも思えます。すなわち17周目前後のサロとアーバインのピットイン。サロには雨にも関わらずドライタイヤが用意され、レインタイヤへの履き替えに30秒近くの時間を要しました。またアーバインも右リアタイヤの準備が遅れ、30秒以上をロスします。結果から言うとドライのままレースを続けた方が正解だったわけですが、この数十秒の遅れがなければ、あるいは最終ラップでミナルディーに追いついていたかもしれないと思うと、タイトル争いをしているチームとは思えない失策でしょう。このままではアーバインの逆転優勝はますます厳しいと思えてならないのです。


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