おかゆ戦隊 2
(注:やっぱり好きな節で歌ってください)
♪ちゃんちゃん ちゃちゃちゃ ちゃかちゃんちゃんちゃーん
どこまでも続く 低金利時代
1年定期 利率が0.03% 100万預けて
1年後に利息は 税引き後240円
安すぎだ! (そうだな!)
誰のせいだ! (知らねぇよ!)
タラバ蟹は 蟹じゃなくてヤドカリの仲間
セリフ:「成人病って言うな、正確には”生活習慣病”だ!」
ちゃんちゃん ちゃちゃちゃ ちゃかちゃんちゃんちゃーん
どこまでも続く IT時代
インターネット パソコン 当たり前
何でも カタカナにすれば良いってもんじゃない
先取れ! (何をだよ!)
先取れよ! (話を聞けよ!)
味噌の味の表記の 「中甘」って 何か可愛くないか
「おかゆ戦隊のテーマ」
***
五京グループの本社、建物の名前を五京セントラルビル・・・は、
1階の受け付けで申し込みをすれば、社内を自由に見学することが出来る。
そこで、双子の鏑木(かぶらぎ)兄妹は、両親から言付かってきた事由もあって、
この五京グループのビルにやってきたのだ。
「奈須菜(なずな)、いい加減”それ”はやめるの。
ビルの中に入ったから。」
見ると、眼鏡をかけた少女は、兄が目を離すとすぐに、ポケットからゲーム機を
取り出して、古い表現だが、ピコピコやっている。
そんな妹の様子に、半ば呆れて、同じ年の兄は注意をして、言ったのだ。
「そんな風にゲームばっかりやってるから、目が悪くなるんだよ。」
「違うもん、眼鏡はパパとお揃いなんだもん。」
少女はそう口をとがらせて、言った。
***
恭四郎は、英語で書かれた外国の企業からの提案書を読んでいる。
別に、彼が辞書片手に原文を読まなくとも、有能な秘書・箱部(はこべ)が
日本語に訳して書類を渡してくれるのだが、恭四郎は、あえてその手を選ばない。
辞書を使っているとは言え、その状態で内容が理解できるのだから、彼も大したものだが。
面会希望の方が、という社内電話を受けたので(受けたのは無論恭四郎
本人でなく、箱部)返事をして、恭四郎は面会人と会った。
そこに立っている人物に、恭四郎は会ったことは無かったが、だからといって、
彼らが誰か、知らないこともなかった。
「五京恭四郎さん でしょうか?突然すみません。」
そう言って、青と水色と白でまとめた服を着ている少年が、挨拶をした。
身長が140センチ位で、明らかに子供なのだが、その時恭四郎は、
どこかの会社の営業部長でも、挨拶に来たのかと思った。そう感じたのだ。
少年は、続けて名を名乗った。
「申し遅れました。私は、鏑木鈴名(かぶらぎすずな)。
こっちは、妹の奈須菜です。」
大人びた挨拶をする少年の言葉を遮って、33歳の社長は言う。
「あー、知ってるよ。静一さんの子供さんだろ、君たち?
正確に言うと、静一さんと恵子さんの子供、だろうけど。」
昔・・・正確に言うと15年前だが・・・正月に、ちょっとした「バカ騒ぎ」が
有った。
そこで、コンピューター関係の会社に勤める鏑木静一(かぶらぎ せいいち)と、
普通のOL大根恵子(おおね けいこ)は出会い、1年ののち結婚したのだが、
結婚2年目で、双子の赤ちゃんに恵まれたと、聞いた。
ありがちな話だが、年賀状で知ったのだ。
恭四郎は、その時古都××市に居たので、地元名産の手漉き和紙のハガキを、送った。
その、11・2年前生まれた双子の兄妹が、ここにいるというわけだ。
恭四郎はつもる話もさておき、どうでも良い事を聞いた。
「鈴名くん。かぶらぎすずな だと、名字も名前も
カブなんだけど、嫌じゃないか?」
いえ別に、と少年は、顔色を変えずに言った。
***
鏑木夫妻の用というのは、
単に、子育ても一段落し、金銭的にも余裕ができたので、この際、昔の恩人(?)にでも
贈り物をしよう、ということであるらしい。
鈴名は、漬物の入った箱を持っていた。
鏑木家の住んでいるのは北関東の××市なので、東京のど真ん中のここまで来るのは、
結構大変なようだ。
社内見学をしたいと言ったのは、鈴名であるらしい。
妹の奈須菜は、そのゲーム機の液晶部分を作っているのは、五京エレクトロニクス
なんだよ、と兄が言ったからで。
少女の方は、明らかにキョロキョロとしていて、落ち着かない様子だ。
この部屋を出て、突き当たりを右だと恭四郎は思った。(それはお手洗いの場所だ)
少女は今ゲームをしたいのだが、それを恭四郎は知らなかったので、後で残念に思った。
知っていたならば、少し先の「会長室」に有る、バーチャルゴルフゲームを、壊すほど
遊ばせてやったのに。
というか、「誰か壊してくれ、親父が社長に復帰すれば、どんなにいい事か。」というのが、
恭四郎の本音だが。
続く>>>
「創 作」