おかゆ戦隊 3
(注:しつこいですが、好きな節で歌ってください)
♪ちゃんちゃん ちゃちゃちゃ ちゃかちゃんちゃんちゃーん
どこまでも続く 青春時代
綱引きの ロープは 何故あんな匂いか
摘んだばかりの コーヒーの実の色は 赤
何が言いたい! (こっちのセリフだ!)
ためになるなぁ! (ならねぇよ!)
いよかん と はっさく の見分け方が分からない
セリフ:「なまはげを見て、泣かない子供の方が、怖いわ!」
ちゃんちゃん ちゃちゃちゃ ちゃかちゃんちゃんちゃーん
どこまでも続く 省エネ時代
家電リサイクル法施行 ゴミも簡単に捨てられない
トロッコもトラックも 語源は 同じ
お徳ですか? (比較対象は何だ!)
大変ですね! (全くだよ!)
パソコンのヘルプは ほとんど助けにならない
「おかゆ戦隊のテーマ」
***
その時、恭四郎は思ったのだ。
わざわざ、人数が揃うのを、待っていたのか?と。
そんなことしなくても、15年前は勝手に徴収したくせに、と過去を振り返る。
外はまったくのいい天気なのに、一瞬、雷のように空がピカッと光って、
それからあの、嫌〜な声がした。
今回は、その声が「天から」ではなく、
同室にいた、身なりの良い初老の男性から聞こえるのが、最大の問題点なのだが。
「・・・っ、箱部さん!!」
異変に気付き、思わず恭四郎は叫んだが、異変に気付いてから声を発しているのだから、
手遅れなのである。
いつも謙虚な、丁寧な物腰の恭四郎の秘書は、いきなり偉そうな口調で、告げた。
「諸君!君たちには、使命があるのだ!!」
またかよ、と恭四郎は、思わず口に出してつぶやく。
また、俺ばかりが意味のない「活動」に、かり出されなくてはならないのか。
そう思って、若き社長はため息をつきそうになるが、そこを、彼を救う発言があるのだ。
「・・・狐憑き ですか?」
尋ねたのは、鈴名である。
ずいぶん古風な言葉を知ってる子供だな、と恭四郎は思った。
先ほどまで、ニコニコして恭四郎の側にひかえていたのに、いきなり彼を指差して、
使命がどうのこうの、と言っているからだろう。
実に、的確な推理だ。思わず恭四郎は、嬉しくなってしまった。
今回、また騒動に巻き込まれたとしても、ひとりではない。
しかし、秘書の箱部に光臨(?)しているのは、まずいな、と恭四郎は思った。
すなわち、人質をとられているのも、同じだから。
彼、箱部は、以前は父親・公一郎の秘書をしていて、今は社長が代わったから、恭四郎についているのだ。
勤続年数も長く、五京グループの生き字引と言われている。
そんな彼を、危険にさらすわけにはいかないのである。
「まー、狐憑きみたいなもんかな。
ところでアンタ、誰だ?そして今度の、俺たちの敵は誰?」
最初の言葉を鈴名に向けて言って、後の言葉を箱部に向かって言った。
恭四郎の態度が前向きに見えたのが嬉しかったのか、使命があると告げる人物は、言う。
「良い質問だ、おかゆレッド。」
「ちょっと待て、おかゆレッドって何だ。」
そうツッコミは入れたが、恭四郎は瞬間的に、それが俺の名前であるのだろうなとは、
理解した。頭が良いと、こういう時つらいものである。
ふと横を見ると、退屈したのか少女が携帯型ゲーム機を取り出して、ゲームを始めて
いたので、
立って聞いてても疲れるだけだしな、と、少年少女に応接セットのソファをすすめ、
自分は自分の椅子に座り、偉そうな口調の神出鬼没な人物は、放っておいた。
***
「8020運動を妨害し、世の人々の健康を
奪おうとする、おかゆ魔人を倒さなくてはならない」
それが、恭四郎たちの使命であるらしい。
天の声(今回は天から喋っているわけではないが)は、自分の言いたいことだけ言い終わると、
質問は受け付けないかのように、黙りこくってしまった。
早い話が、箱部から抜け出たらしく、箱部は疲労でか、倒れるように眠ってしまったので、
鏑木兄妹が腰掛けている、反対側のソファに寝かせてある。
恭四郎は立ち上がって、腕を組んでから片眉を上げて、言った。
「そもそも、はちまるにいまる って何だ?西暦8020年のことか?」
すると奈須菜が顔を上げて、無垢な笑顔で、答えた。
「違うよー。8020運動っていうのは、80歳になっても、20本以上自分の歯を
持ってるようにしようっていう、”歯を大切にしよう”って運動だよー。」
恭四郎は新聞も読むしニュースもよく見るが、そのことを知らなかったので、
単純に感嘆した。
それから、本筋の謎について考える。
数秒間の沈黙。
「おかゆを浸透させ、噛まなくなった人間が歯を失い、健康を害す。
そんなことを企んでいるおかゆ魔人を、俺たちは倒さなくてはならない・・・?」
恭四郎のその考えは、一応正解だといえる。
彼の言葉を聞いて、鈴名は学校でやるように、ハイと手を上げた。
「はい鈴名くん、何かな。」
と恭四郎は、先生ぶって聞く。少年は答えた。
「倒す相手がおかゆ魔人なのに、我々の名前も”おかゆ+カラー”なのは、何故でしょうか。」
「・・・・もっともな意見だねっv」
教育テレビのお兄さんのごとく、優しい口調で、恭四郎はつぶやいた。
続く>>>
「創 作」