おかゆ戦隊 4

(注:毎度のことですが、好きな節で歌ってください)

♪ちゃんちゃん ちゃちゃちゃ ちゃかちゃんちゃんちゃーん

どこまでも続く 飽食時代
今どき テレビのチャンネルを ”回す”って言わないのか
タモリの 好物は サバ

常識だ! (そうか?)
常識だろ?! (決め付けか!)

漫画家のつのだじろう と 歌手のつのだ☆ひろ は兄弟

     セリフ:「アニメ化したけどテレ東だから入らない、は地方の同人屋の口癖だ!」

ちゃんちゃん ちゃちゃちゃ ちゃかちゃんちゃんちゃーん

どこまでも続く 核家族時代
ピンからキリまで の意味は ピンが1でキリが10
タモリの 趣味は 古地図収集

またか!  (こっちのセリフだ!)
覚えろよ!  (命令か!)

個人サークルって ものすごく矛盾した言葉

          「おかゆ戦隊のテーマ」


***

「いいんですか?」と鈴名は聞いた。
「いいんだよ。」と恭四郎。

彼も30になって、というか、2回目なので、落ち着いたものである。

「精一杯やらなくてもいいの、適当に、ごまかせばいいの!!
君たちは、・・・おじいちゃんのとこに泊まるんだっけ?・・・もういいから、 下で記念品もらって、もうそっちに向かいなさい。」
ばいばーい、と柔らかい口調で、若き社長は言って、鏑木兄妹を社長室から 見送った。
恭四郎は今、電話をかけたいのである。

電話というのは、元々、プライベートな通信手段だ。
恭四郎のような立場になると、ほとんどが「公」の電話なので、受付係や秘書が 繋いでくれる。
携帯電話も持っているが、仕事用に専用のものが1つあり、恭四郎個人のは他に、 もう1つある。
恭四郎は”自分”の方の携帯を出した。

***

B級芸能人、と称されて、気を悪くしない人間はいない、と思うかもしれないが、
現実は、そうでもない。
本人がA級を望んでいないかぎり、B級で十分だと思っているのなら、それは 誉め言葉なのである。

ここに1人、そんなB級芸能人が居て、
最近の仕事といえば、健康的なイメージが評価されて、 「献血に行こう」というキャンペーンの、ポスターのモデルに抜擢された。
あとは地方のローカル番組の、レポーターをたまにやったり、
ニュース番組のスポーツコーナーに、ゲストで出演したり、そんな程度。
「彼女」は東京に住んでいたが、今は仕事で大阪に来ていたのだ。
そんな時、携帯に電話。

ゴギョウ

本当は、下の名前を登録した方がいいのだろうが、何となく照れくさくて、 彼の嫌いな名字を登録してある。
しかも、何故かカタカナ表記だ。(別に、漢字登録の仕方が 分からなかったわけではない)
芸能人の彼女・・・芹沢ハルカは、電話に出た。
「はい、もしもし?」

「出たぞ。」とだけ、恭四郎は言った。

「・・・・・何が?」とハルカ。至極、当然な質問である。
「えぇとな、おかゆ魔人。」と男は答えた。
彼は、答えることを間違えている。
さっきまで正確に理解していたはずなのに、あがっているのだろうか。
問題なのは「天の声」が出たことであって、いるかいないのか分からない、おかゆ魔人は どうでもいいのである。
相手は30を超えた大人だろうに、「魔人が出た」とかいう、意味の分からない 電話をかけてきたので、さすがにハルカも呆れた。

「アンタ、昼間から酒でも飲んでるの?
それとも何?子供向けアニメの、新番組のタイトルか何か?」
「違う、出たんだよ、おかゆブルー
「意味の分からない単語を使わない!!」
ハルカは、携帯に向かって叫んだ。
こんなのが、大企業五京グループの総裁だなんて、日本は大丈夫かしらとハルカは思う。
噂では、若い社長は驚くべき才覚を見せて、会社を取り仕切っていると聞いていたが、 今の恭四郎は、タダの怪しい人物だ。

「こっちもヒマじゃないのよね。」とハルカがつぶやくと、
恭四郎はふと我に返って、「俺だって、ヒマじゃねぇよ。」と答えた。

「なら、はやく本題を言いなさいよ。」
「うるせぇ、説明しにくいことなんだよ!」
「何で怒るのよ!アンタから電話してきたんでしょ!」
「怒ってねぇ!うだうだ言わねぇで、すぐにこっち来い!」
「は!?そんな、すぐ行けるわけないでしょ?!
私今、大阪にいるのよ?!アンタ、こっちの事情全く考えてないでしょ!」

2人ともそれなりに忙しいので、久しぶりの電話なのに、
何故か必要以上にヒートアップして、口喧嘩をしている。
例えば最初に、いつもと違った雰囲気で、甘く、
「会いたい」
とでも囁けば、B級芸能人は新幹線に乗って、五京ビルまでやってきてくれたかも しれないのだが、
あいにく恭四郎に、そういった才覚は、なかった。
なので、不毛な話し合いはどんどんエスカレートしていき、最後に彼はこう言って、 電話を切った。

「来られないだと、コラ?
なめるなよ、俺は五京グループの社長だぞ?!
今から、自家用ジェット機で迎えに行くからな、お姫様!!

それは口説き文句なのかどうか、微妙なところだ。


                    続く>>>


「創  作」