ナイトハンター×クイズレンジャー コラボ「きらぼし」
その1(お題:弱音)
「ぎゃー!!」
という少年の叫び声が聞こえたので、クラウスは飛び起きた。
時刻は、早朝である。
声がしたのは、2階からだっだ。
2階はソウマの部屋があるところなので、(ザギの部屋は隣)何事かと思った。
クラウスはとりあえず、手元にあったバンジョーと小刀を持って、階段を駆け上った。
強盗が、窓から侵入したとも思えないが、もしかして、猛禽類でも
飛び込んできたのかと思って。
しかし事態は、もっと複雑だった。
開け放たれたドアから中に入ると、灰色の髪の竜族の少年が、
すすり泣きならが、床に手をついている。
どうしたの?と彼女が聞くと、ザギは叫ぶように答えた。
「ク、クラウス、どどど、どうしよう!
息、息してない!ソウマが、息してないよ!!」
少年の言葉を聞いて、吟遊詩人の女性は、目を丸くした。
ザギの言っていることが事実なら、この家の主が「死んでいる」
ということだ。
しかしそれなら、ザギの頭ごしに見える、半身を起こした、
髪がボサボサの男は、いったい「何」だと言うのだろうか。
ちらっと見た瞬間、上半身が裸だったので、クラウスはあまり視線を向けないようにしていたのだが。
そう言おうと彼女は思ったのだが、男の声によって遮られた。
「ザギ、まずは落ち着けよ。
慌てても、良いことねぇぞ?」
それはまさしく、ソウマの声だったのだが、
クラウスは、その時気づいた。
喋っている人物以外に、寝台に寝そべっている男が、もう1人居ると。
+++
「結局、何なのよこれは!」
「怒るなよ。俺が知るわけねぇだろ。
知ってたら、今頃苦労してねぇよ。」
やれやれ、と言った具合に、ソウマはため息をつく。
しかし、髪をぐしゃぐしゃと掻く行為すら、出来ない。
彼の体は、ベッドの上で微動だにしていないのだから。
ザギは、寝ている(?)男の心音を聞いたり、呼吸が戻っていないか
調べているが、結果は同じことだ。
脈もないし、一般的には、これを「生きていない状態」と言う。
ちなみにザギにも、ソウマの声は聞こえている。
聞こえているが、あまりのことに混乱していて、うまく
返答できていないだけだ。
クラウスは腕を組んで、尋ねた。
固まっている身体から垂直にはみ出している、どうやら「幽体離脱」状態の、彼に。
「ねぇアンタ。本当に、こんな状態になった理由に、
思い当たるふしは無いの?!」
「ねぇって言ってるだろ。知らねぇよ俺だって。
よく分からないが、死んだんじゃねーのか、こりゃ。」
ソウマがそう答えると、ザギとクラウスは2人揃って、叫んだ。
「そういう、縁起でもないことを言わない!」
どうして俺は、死んでからも説教されなくちゃならねぇんだ?と、
仕立て屋の男は考えた。
■その2(お題:リセット)に続く■
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