ナイトハンター×クイズレンジャー コラボ「きらぼし」
その2(お題:リセット)



クラウスが落ち着いているのは、彼女の取得している魔法の属性が、
<木=緑>だからかも、しれない。
<木=緑>はその名の通り、植物に力を借りる。
回復や補助魔法の手助けをする、薬草類を作ることもある。

人は、死んでもその魂が失われていなければ、命を吹き返すことがある。
蘇生魔法が存在するのは、その為だ。
過去に、未熟な<金=白>魔法の術者の為に、蘇生の手助けをする 薬草を分け与えたこともある。
つまりクラウスは、喋っているほうのソウマ(つまり魂)が無事なら、 何とかなるだろうと思っている。
だから、平然としていられるのだ。
ちなみに、ザギの属性は<火=赤>で、ソウマは<土=黒>である。
<火=赤>も<土=黒>も、魔法に、回復系の要素は少ない。

もう少ししたら、司祭サンでも呼んでこようか?
と、クラウスは言った。
まだ時間が早いからだ。迷惑にならない時間帯になったら、回復系の 魔法を扱える、司祭なりなんなりを、呼べばいいと思っていた。
そうすれば、何故魂が抜けたのかは不明だが、元の状態に戻るだろう。
がめつい僧侶に、いくばくかの謝礼を払わなくてはならないだろうが、 それくらい、どうでもいい。
文字通り、生きるか死ぬかの問題なのだ。
(クラウスは、死んではいないと思っているが)

でもなー・・・とソウマは言いかけ、少し黙ってから、つぶやいた。
「なぁ。・・・俺のことは”これまで”にして、
お前ら、新しい人生を歩めよ。」
随分、急な発言だ。ソウマが生き返ると思っているクラウスには、
もちろん、衝撃的な言葉だった。
当然、ザギも驚いた。「お前ら」と言っているからには、対象はひとりではないと理解できたし。
確かにザギとクラウスは、彼ソウマが「ここ」にいるから、「ここ」にいる。
もし彼がいなくなれば、この街にいる必要性は無くなる。
しかし、青年はまだ生きている(と2人は思っている)のだから、いきなり、新しい人生を〜と 言われても、はいそうですか、とは答えられない。

何を・・・!と言おうとしたクラウスに、男は告げた。
「俺自身も、何でこう、精神か?・・・が抜けたのかは分からねぇが、
この状態が、魔法で治らねぇのは、分かる。」
魔法でダメなもんは、もう手の打ちようがねぇよな、と続けて呟いた。

属性・・・!!

ソウマは、高度の<土=黒>呪文スペルユーザーである。
ある属性の魔法を極めると、プロテクション(防御効果)が高まるため、相反する属性の魔法が、 効かなくなる。
<土=黒>の自分に、<金=白>の回復魔法は、効かないと言っているのだ。
確かにそうだ。それは、魔法学の基本中の基本だった。
属性自体は、魔法を使わなくなっても、消えることはない。
一種の体質のようなものだ。
ソウマはつい最近まで、呪文を使っていたので、弱くなっているはずもなく。

クラウスは、衝撃を受けた。
いくら魂が無事だからと言って、肉体がこのままでは、やがて朽ち果てて、 本当に死んでしまう・・・!!
亜麻色の髪の女性は、青ざめた。血の気が引くとは、こういうことを言うのだろう。
どうしよう、と彼女は思った。

■その3(お題:エレベーター)に続く■

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