時折,ふと思い出す.特にこんなに静かな夜には.君が降ってきたあの階段.偶然見かけた渡り廊下.夕暮れの坂道.一緒に掃除した廊下.二人はしゃいだ屋上.涙.そして,儚い春を舞う風のような君の笑顔.
たった一週間の出来事だったなんて,どうしたら信じられるというのかな.こんなにもたくさんの小さな思い出達が,いつだって暖かく鮮やかに僕の心に咲き誇るのに.
君は今も眠っているのだろう.夢すら見ることのない,深く,静かな電子の闇の中で.それでも君はきっと,君の想いを記憶に乗せて,未来へと手渡すのだろう.僕は,あの二人の時間の中で,何かを君に手渡せただろうか.
もしいつか,君の妹に出会うことができたなら,僕はやっぱりあの坂道を歩こう.そして,少しだけ君の話をしよう.彼女は笑ってくれるかな?
どうか君の想いが,彼女達に伝わりますように.