倒れなかった帝国
〜 ヒトラー帝国の興亡 リプレイ 〜


◆SSゲーム「ヒトラー帝国の興亡」

 「ヒトラー帝国の興亡」は、翔企画から発売されていました「SSゲーム」の一つで、第2次大戦のヨーロッパ戦線を扱っている戦略級のシミュレーションゲームです。期間は1940年夏から1945年春までの5年間で、半年で1ターン・計11ターンで行われます。マップは右図の範囲で、北はスカンジナビアのノルウェーの南部、南はアフリカのリビア北部まで、西はイベリア半島ポルトガル、東は中東ペルシア(イラン)までの約5千km四方をカバーしています。さらにボックス(地図外)としてアメリカが異縮尺で書き込まれています。

 本ゲームは、枢軸軍(ドイツ)と連合国(イギリス、ソ連)により行われ、便宜上連合国はイギリスとソ連に分割されます。なおイタリアやアメリカ等の中立国は、条件が満たされた場合に参戦します。

 ゲームは海軍→戦略爆撃→生産→作戦の4つのフェイズに分割されて進行していきます。基本的に各フェイズは枢軸軍から行います。
 海軍フェイズでは、海域と呼ばれる海ヘクスの集合(エリア)に艦艇ユニットを配置し、海域の制海権の決定を行います。艦艇が置かれている海域は、その艦艇を有する陣営が制海権を握り、補給線の確保や海上輸送などの実施が可能になります。なお複数の陣営が同一海域に艦艇を配置した場合には、海戦が発生します。海戦は各ユニット毎にダイスを1個振り、6が出ると1ユニット撃沈(ユニットの除去)・5で撃破となり海域に留まることができなくなります。なお撃破ユニットは次のターンに再び使用可能になります。撃沈されたユニットは生産されない限り、ゲームに復帰できません。
 海戦の結果、複数の陣営のユニットが同一海域に留まることがありますが、その場合その海域は中立となります。

 戦略爆撃フェイズでは、航空ユニットを用いて相手国の生産ポイントを減少させることができます。この際目標国は、対空砲火による防衛と航空ユニットを投入する迎撃を行うことができます。対空砲火はダイスを2個振り6が出ると1ユニット撃墜(ユニットの除去)、5で帰還となります。撃墜・帰還のユニットは爆撃を続けることができません。なお帰還のユニットは、艦艇ユニットと同様に次のターンに再び使用できます。迎撃は航空ユニット1つにつきダイスを2個振ることができます。効果は対空砲火と同様です。そして対空砲火・迎撃で被害を受けなかった航空ユニット1につき、目標国の生産ポイントが1減少します。

 生産フェイズでは、各国が保有している生産都市又は工場1つにつき1ポイントの生産ポイント得ることができます。生産ポイントを消費して、次のユニットの生産を行うことができます。
ユニット名称 生産ポイント 備考
歩兵 攻撃力を持った唯一の部隊
国民擲弾兵 0.5 攻撃力が弱い以外、歩兵と同じ。ドイツのみ生産可能
将軍 戦闘の際、ダイスの目に+1することが可能
戦車 戦闘の際、ダイスの目に+1することが可能
要塞 戦闘の際、ダイスの目に+2することが可能
航空 戦闘の際ダイスの目に+1、その他戦略爆撃等も行える
戦艦 制海権の確保、海上輸送や強襲上陸の際にも使用
空母 制海権の確保に使用。海戦時にダイスの目に+1できる
Uボート 制海権の確保に使用。また通商破壊作戦に従事できる。ドイツのみ生産可能
工場 1生産ポイントを持つ。ソ連のみ生産可能。
作戦チット 作戦の実施に必要
 この中で作戦チットは、ユニットが作戦を行うための補給物資と考えられ、チット1つにつき1回の作戦行動が可能となります。ただし各陣営とも作戦チットは2個(ドイツのみ3個)までしか生産することはできません。また作戦チットの生産には、上記の都市・工場の他に、資源ヘクスから生産する事も可能です。

 作戦は、先に説明した作戦チットをまとめてカップ等に放り込み、それを引き合って進めます。引いたチットに記載されている陣営が作戦行動を行うことができるため、順番が不明であり、その都度柔軟な作戦立案が必要になります。時には相手陣営が連続して移動できることもあるため、かなり運の要素も絡んできます。が、「戦場の霧」と呼ばれる不正確さを出すことには成功しています。
 作戦フェイズは更に移動セグメントと戦闘セグメントに分割されます。
 移動セグメントでは、部隊の移動を行うことができます。ユニットは移動力2を持ち、その範囲内で行動する事ができます(戦術移動)。またその他に戦略移動と呼ばれる移動もできます。戦略移動では自陣営の占領下にあるヘクスであれば自由に(何ヘクスでも)移動する事ができます。ただし敵支配地域に入ることはできません。海上を移動することも可能ですが、そのためには1陸軍ユニット(歩兵、戦車、将軍)につき移動海域にある1戦艦ユニットを使用します。その際戦艦ユニットは同一ターン内では使用できなくなります(使用済みとして別のボックスに移される)。
 戦闘は同一ヘクスに存在する敵ユニットの間で行われます。歩兵の戦闘力と同数のダイスを振り、5か6が出ると1ヒットになります。この際、戦車・航空・将軍・要塞ユニットによるダイス修正があります。なお戦車と航空ユニットに限り、両軍で同じ兵種が参加している場合、戦車戦・空中戦が行われます。これはお互いにダイスを振り合い、より小さい目を出した側のユニットが除去されることで表されます。こうして両者のヒット数を比較し、ヒット数が少ない陣営が損害を受けます。1差ならば1ヘクスの後退、2差以上ならば除去となります。

 こうして11ターンを戦い、最終的にベルリンを占領している陣営が勝利となります。

 以上、簡単に(ではありませんが)ルールの紹介とさせていただき、実際のプレイの様子を追っていきましょう。



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