倒れなかった帝国
〜 ヒトラー帝国の興亡 リプレイ 〜


◆失策・失われた戦争早期終結〜第9ターン(1944年夏)〜

 ベルギーの海岸に橋頭堡を確保した連合軍。戦線の拡大をはかり、さらなる攻勢を続けるが、ドイツの必至の反撃の前に作戦の遅れが目立ってきた。果たして年内の終戦は実現するのであろうか?

 このターンもフランスをめぐる攻防が中心となります。ドイツは必至でイタリア・ベルギーの連合軍に反撃しますが、ブリュッセルでは空軍と装甲を、イタリアでは装甲を失ってしまいます。さらに追い打ちをかけるかのように、連合軍はフランス・シェルブールとリールに上陸を果たします。がここでもドイツは驚異の粘りを見せ、上陸軍を水際でたたき落とすことに成功します。連合軍の海岸堡は拡大することができず、上陸作戦自体が瓦解する危機となります。
 またイタリアでもドイツの反撃の前に、ローマまで押し戻されてしまいます。
 東部戦線では、装甲ユニットをほとんど失ったドイツ軍に対し、ソ連軍が総反撃に転じ、キエフ・ハリコフと言った南方の主要都市の奪回に成功します。がドイツに与えた損害は軽微であり、全戦線に渡りドイツを敗走させるまでには至りませんでした。モスクワでの攻撃はまたしても失敗、首都の奪回はなりませんでした。


◆海岸堡の消耗戦〜第10ターン(1944年冬)〜

 思いがけないドイツの反撃の前に、フランス北部の戦闘は消耗戦の様相を呈してきた。いくら連合軍の生産力が高いといっても、何度も上陸作戦を敢行するだけの余力はない。このターンで橋頭堡を確立させないことには、ドイツを屈服させることは不可能になるであろう。悲痛の趣で、イギリス軍とアメリカ軍は進撃した。

 3波に渡る上陸作戦の前に、とうとう連合軍の海軍には余力がなくなってしまいました。不十分な戦力と知りながら、絞り出した兵力をシェルブールとリールに送ります。
 相変わらず戦闘が続くブリュッセルですが、このターンも決着がつきませんでした。一方のノルマンジー(シェルブール)に上陸したイギリス軍も、ドイツ軍の反撃にあい内陸への侵攻は失敗してしまいます。
 東部戦線でのソ連軍の反撃は、大失敗となります。再びモスクワ攻略を目指した部隊と、キエフ西方でドイツ軍と対峙していた部隊、ハリコフ南の部隊等計5ユニットを失います。そして西部戦線が安定したと見たドイツ軍の反撃が開始されると、ハリコフ、キエフと言った主要都市の再占領を許してしまいます。


◆連合軍敗退す〜第11ターン(1945年春)〜

 前ターンで、そのほとんどの生産力を部隊の編成につぎ込んでしまった連合軍。このターンでは十分な海上輸送能力を確保する事ができず、手持ちの兵力だけでの攻勢を余儀なくされた。その攻勢が頓挫したとき、連合軍に勝利はなくなった。

 海上兵力を消耗した連合軍は、フランスからの反撃を断念、ソ連の圧力に期待し、そのほとんどの生産力をソ連への貸与と言う形で使用しました。その結果、十二分の戦力を回復したソ連軍は、各地でドイツ軍を駆逐します。モスクワ・キエフ・ハリコフを再奪還し、戦線を押し戻しましたが、いかんせん反撃が遅すぎました。独ソ開戦前の国境線にまでたどり着くこともできず、ドニエプル川の戦線で終戦となります。
 フランスのイギリス軍は、最後の攻撃を行うもパリ目前で力尽きます。またベルギーのアメリカ軍もついに壊滅してしまいます。
 その後のドイツ軍の反撃は面白いように成功を納め、フランスとイタリアの連合軍計9ユニットという膨大な部隊を撃破します。これはヨーロッパに展開していた連合軍全ユニットに相当し、文字通り連合軍はヨーロッパ大陸から駆逐されてしまったのです。


◆第2次世界大戦戦勝記念日〜1945年5月4日〜

「最終的にベルリンを支配している陣営の勝利」
 この勝利条件に当てはめなくても、ドイツ軍の圧勝と言える結果になってしまいました。
 ドイツ軍は、中盤から終盤にかけて対ソ戦で膨大な損害を受けてしまいました。それでもアメリカに匹敵する生産力を持って、傷口をふさぐことができました。連合軍の戦略爆撃が充分な効果を上げることができず、空軍の生産よりも失った海軍力の再建のために生産ポイントを消費しなければならかったことが幸いしました。
 一方の連合軍は、フランス上陸の失敗が大きく響きました。一回の上陸で充分な攻撃力を揚陸するためには、戦艦2ユニットは必要となります。これが失敗に終わったとき、戦艦2、戦車1、歩兵1ユニットを、生産ポイントに換算すると7ポイントと言う生産力を失うことになります。これはイギリスのまるまる1年分の生産ポイントに相当します。この上陸を3ターンに渡って続けなければならなかったのが最大の誤算でした。
 またソ連軍ですが、終戦時にソ連領内に存在するドイツ軍はわずか2スタックのみと言う状況から、攻撃がかみ合えば侮りがたい戦果を生み出すことが判ります。しかし、モスクワまでが占領されてしまった今回のプレイでは、生産力の絶対数が不足してしまったことは否めません。開戦前に作っておいた工場の生産力がなければ、おそらくスターリングラードまで陥落していたと予想されるだけに、ドイツのサドンデスも可能性があったのです。

 「ヒトラー帝国の興亡」は、ゲームとしての規模が大きい割に部隊数が少ないので、ダイスの目によっては今回のように大きく勝負が開いてしまう場合があります。それでもリカバリーの方法によっては、また違う結果になっていたかも知れません。考えられるのは、連合軍の上陸先。フランス北部のドイツ軍が強大であったのは、マップを見れば充分に理解できました。そこでフランスにこだわらず、イタリア方面から圧力をかけたならどうだったでしょう。おそらく一進一退の戦局にはなるでしょうが、後方に退却のスペースがあるぶん、そして遥かに部隊展開のコストが低いぶん、連合軍は有利に立てたのではと思います。ただし、進撃路が実質2ヘクスしかないため迅速な進撃は難しく、ベルリンまでたどりつけたかどうかは疑問です。
 第2回戦は史実にこだわらず、もっと柔軟に戦略を立てて行きたいものです。



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