泥の海に沈んだ「勝利」
〜 ハリコフ大戦車戦 リプレイ 〜


◆第7ターン 〜雪解け(3/3〜7)〜

 柔らかな春の日差しがロシアの大地を照らし始めた。だが戦場の兵士達にその恩恵はなかった。雪解けの季節を迎えロシアの大地は泥濘に沈んだ。

◇ソ連軍
 補給切れにより、機動戦力の大半を失ったため、この泥濘(*7)の中、充分な機動ができない。よって攻撃は散発的になる。
 東方では第1親衛軍第6親衛狙撃兵軍団が第7装甲師団の撃退に成功する。
 東方では貴重な機動戦力である第3戦車軍第12戦車軍団が第257師団を退却に追い込み、同第5・8親衛戦車軍団の包囲攻撃にTOT装甲師団の壊滅に成功した。
 目立った戦果は以上だけである。

(*7)第7ターンから最終第9ターンまでは雪解けのため、部隊の移動にかかるポイントが倍になります。実際に雪解けの大地は泥濘の海と化し、部隊の移動を妨げたそうです。

◇ドイツ軍
 ようやくソ連軍の攻撃が下火になってきた。ここから反撃の開始である。
 比較的戦力が優勢な東方では、第17装甲師団が第1親衛軍第6親衛狙撃兵師団を撃退、進軍の結果第1親衛軍司令部の包囲に成功する。同部隊を第3装甲師団が攻撃し、難なく撃破する。
 中央では第6装甲師団が正面軍の司令部を、WIK装甲師団も第6軍の狙撃兵部隊を攻撃しそれぞれ退却させることに成功する。
 西方では第19装甲師団と第15・257師団の攻撃がそれぞれ空振り、第167師団が第3戦車軍第6騎兵軍団の撃退に成功したのが唯一の戦果だった。


◆第8ターン 〜バックハンド・ブロウ(3/8〜12)〜

 ドイツ軍の反撃にソ連軍は退却を開始した。ハリコフを占領している軍が勝利を収めることは明白であり、両軍の攻防はハリコフへと舞台を移していく。

◇ソ連軍
 東方の戦線戦を立て直すため、部隊の後退を開始させる。が、敵の対応移動の結果、容易に接敵されてしまう。
 西方では補給の途絶した戦車部隊、第6軍第25戦車軍団が第11師団の反撃により、第3戦車軍第12戦車軍団が第275・15師団の反撃により壊滅した。
 中央では第6軍第4親衛狙撃兵軍団がWIK師団を撃退したものの、劣勢は明らかとなっている。
 東方は司令部を失った第1親衛軍の残存部隊が敗走を繰り返しており、予断を許さない状況になりつつある。

◇ドイツ軍
 敵第6軍と第3戦車軍の機動兵力は底をつき、脅威とならなくなった。そのため焦点は東方=ハリコフへと移っていく。
 その東方では第6装甲師団がしぶとく残っていた正面軍の残存部隊(正面軍司令部)の攻撃に成功し、正面軍はここに消滅した。またハリコフ東方を守っていた第40軍の部隊を第3装甲師団が攻撃、泥濘のため部隊が密集していたことが仇になり、同部隊は退路を断たれ壊滅した。
 西方では包囲下にあった第6軍第4親衛狙撃兵軍団を第11装甲師団が攻撃、同軍団の撃破に成功した。


◆第9ターン 〜遅すぎた反撃(3/13〜3/17)〜

 ハリコフを目指して、ドイツ軍は泥の海をかき分けて前進した。がハリコフは遠かった。後18km。勝利は何処に。

◇ソ連軍
 戦線を縮小し、ハリコフを守ろうにも泥濘が邪魔をして、充分な部隊の展開ができない。頼みの綱はハリコフの東方30kmに最終ラインを引いて防衛にあたっている第40軍である。同軍は辛うじて敵第3・7装甲師団の反撃を撃退した。
 一方、WIK装甲師団の反撃の前に第6軍の狙撃兵部隊が敗走、第11師団の反撃により同第2戦車軍団が壊滅と、ハリコフ南方の守りが危うくなってきた。

◇ドイツ軍
 ハリコフまで後30km。最後の死力を尽くして前進する。
 西方では第19装甲師団が敵第3戦車軍第6親衛狙撃兵軍団を撃退し進軍した。その結果包囲を受けた敵第6軍司令部は、第11装甲師団の前に降伏、事実上第6軍は壊滅した。また第39・257師団の攻撃により第3戦車軍の第5親衛戦車軍団を壊滅させることに成功した。
 東方・ハリコフ前面での戦いは、第3・6装甲師団の攻撃と第7装甲師団の攻撃により、第40軍麾下の6個狙撃兵師団が壊滅、ハリコフまで18kmの地点までたどり着いたが、ここまでがドイツ軍の限界であった。


◆1998年の第3次ハリコフ会戦

 右図が最終ターン終了時の両軍の配置です。
 ソ連軍はともかく、ドイツ軍の損害が予想以上に大きく、勝敗の行方はぱっと見ただけでは解りませんでした。ただソ連軍がハリコフの維持に成功しているので、僅差でソ連の勝利かと思いました。
 結果は・・・・
ソ連軍の勝利得点
 ドイツ軍の撃破ポイント=12ユニット×1ポイント
 ドイツ軍索源撃破ポイント=2ユニット×10ポイント
 計=32ポイント

ドイツ軍の勝利得点
 ソ連軍の撃破ポイント=21ユニット×1ポイント
 都市の占領ポイント=3都市×5ポイント
 計=36ポイント
で、ドイツ軍の僅差の勝利でした。

 つごうソロプレイのリプレイとなってしまいましたが、いかがでしょうか。自分でも、終盤まではソ連軍の勝利と思っていただけに、ドイツ軍の粘りには驚きました。
 ソ連軍の敗因は今思うとスターリノの攻略に失敗したことでしょうか。スターリノを4ターンに強引に攻撃したとすると、スターリノの索源を撃破して得られるポイントが10ポイント、その結果第1親衛軍は壊滅するでしょうから(ドイツ軍の増援は東方から来るため、簡単に包囲される)、失われるポイントは4ポイント。これだと僅差(2ポイント差)でソ連軍の勝利。ただし、中盤に1個軍が壊滅するわけですから、戦線に及ぼす影響は量りしれません。
 作戦研究の課題ですね。


[ Back ] [ Back Page ]