泥の海に沈んだ「勝利」
〜 ハリコフ大戦車戦 リプレイ 〜


◆第1ターン 〜赤き津波(1943/2/1〜5)〜

「星」作戦が発動され、赤軍は進撃を開始した。それはまさに「赤い津波」であった。その猛攻の前に、早くも独2個師団が失われたのである。

◇ソ連軍
 全軍に対し西方への前進を指示する。ただし正面軍機動集団には戦線の突破のため、南西方向への前進を、第1親衛軍にはスターリノ占領のための南下を命じた。
 戦闘の結果、第6軍の3個戦車軍団を含む4個軍の攻撃で敵第298師団を、第69軍と第40軍の計4個軍団により第168師団の撃破に成功する。各戦線でも順当に敵軍の撃退に成功し、第1ターンの攻撃は満足できる結果に終わった。
 ハリコフまで約100km。

◇ドイツ軍
 第1ターンの対応移動の結果、WIK装甲師団(ヴィーキングSS装甲師団)正面軍第4親衛戦車軍団の撃退に成功したものの「焼け石に水」状態。2個師団の壊滅は防ぎようがない。
 次の移動フェーズで部隊を後退させ、戦線の構築につとめる(図中一次防衛ライン)。反撃はまだ不可能だ。第57師団をクルスク西方に配置し、敵の出方に対処する。このままラインを維持できるかが勝敗に関わってきそうだ。


◆第2ターン 〜猛攻(2/6〜10)〜

ソ連軍の猛攻は止まるところを知らず、早くも第1目標のクルスクが陥落した。中央でも再び独軍歩兵師団が壊滅し、独軍の戦線は崩壊の兆しを見せてきた。

◇ソ連軍
 全軍に対し、独軍が放棄した土地に進軍を行う指示を出す。北方の3個軍は全速で西進させる。
 敵歩兵師団に自軍の戦車軍団を接敵させ、敵戦線の弱い部分からの分断をはかる。  一方、正面軍機動集団において、司令部が部隊の前進に付いていけず補給線が延びきってしまった。そのため第14装甲師団の包囲に失敗してしまった。しかし中央では同軍の第4親衛戦車軍団と第18戦車軍団・第6軍の第1親衛戦車軍団の共同攻撃により、第333師団を撃破し敵戦線に大穴をあけることに成功した。
 北方では、第38軍の狙撃兵師団6個相当(*2)によるクルスク攻撃があり、同市の占領に成功した。
 ハリコフまで約50km。

(*2)本ゲームでは、ソ連軍狙撃兵ユニットはは3個師団に相当します。なおソ連では歩兵のことを狙撃兵と呼んでいました。

◇ドイツ軍
 333師団の壊滅のため、充分な戦線の構築が不可能となった。とりあえずハリコフを早期に放棄し、北方の歩兵師団(第57・75師団)を南下させ戦線を再構築しなければならない。
 ハリコフはおそらく3ターンに陥落するであろう。その後の戦線の構築のためには、1個師団とも壊滅させることはできない。背水の陣状態である。しかも本格的な援軍の到着まであと1ターン凌がなければならない。
 3個の武装SS装甲師団(*3)を反撃兵力として保持する事が可能かどうか、次のターンがヤマになる。

(*3)図中AHL、DR、GDの各装甲師団がそれ。それぞれLAH=アドルフ・ヒトラー親衛旗、DR=帝国、GD=大ドイツの名称で呼ばれていました。


◆第3ターン 〜戦線崩壊(2/11〜15)〜

 ソ連軍の猛攻の前に、ついにハリコフが陥落。ドイツ軍の戦線には補いきれない大穴が約50kmに渡って形成された。

◇ソ連軍
 第3戦車軍でハリコフに圧力をかけさせる。その結果、第2親衛戦車軍団の攻撃によりハリコフの守備隊は降伏、ハリコフは我が軍の手に帰した。また、第6軍第1親衛戦車軍団と正面軍機動集団第4親衛戦車軍団の活躍により、第320師団を壊滅に追い込むことに成功した。
 北方ではクルスクを陥落させた第38軍と第40軍による攻撃が、独歩兵師団に対して継続中である
 一方、南方の正面軍と第1親衛軍は苦戦を強いられた。正面軍では補給切れにより戦力の過半を消耗(*4)させていた第10戦車軍団が、独第19装甲師団の反撃により撃破された。また第1親衛軍ではスターリノ攻略の部隊が退却を強いられていた。

(*4)このゲームでは、補給切れの部隊はユニットの裏面を使用し他の状態と区別します。補給切れのユニットの攻撃力と防御力は1/2〜1/4まで激減します。加えてソ連軍戦車軍団は移動力まで0になるため、退却不能で除去される場合が多くなります。

◇ドイツ軍
 第19装甲師団の活躍により、正面軍の圧力を軽減できた。また、スターリノでは救援に駆けつけた第11装甲師団の活躍で、敵狙撃兵師団の撃退に成功した。
 一方中央では、予想通りハリコフが陥落した。予想外だったのは第320師団の壊滅であり、戦線を構築するための部隊が決定的に不足することとなった。この大穴は、SS装甲師団をもって埋めるべく移動したが、全く不十分な対応しかできなかった。結果、戦線に約50kmの大穴が穿たれた。


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