全艦、火力を左舷に集中せよ
〜 激闘ソロモン海戦史DX リプレイ 〜


◆激闘ソロモン海戦史DX

「激闘ソロモン海戦史DX」(ジェネラルサポート)は、ガダルカナル近海で起きた海戦をシミュレートした戦術級ゲームです。
 キャンペーンでは、1942年8月7日のアメリカ軍のツラギ(ガダルカナル島の北に位置するフロリダ島の西部)上陸から、1944年2月7日の日本軍撤退までの、日米陸海軍の死闘を再現しています。
 ソロモン諸島は、オーストラリア大陸の東、赤道よりやや南に位置する一連の群島の名称で、サンタイザベル島、ニュージョージア島、サンクリストバル島等からなります。そしてその中央に浮かぶ島が、太平洋戦争における激戦地の一つであるガダルカナル島です(右図参照 二宮書房「現代地図帳1991-92」より抜粋」)。

 マップはキャンペーンゲームの進行状況を示す「戦略マップ」と、実際のゲームに用いられる「戦術マップ」とに分けられ、戦略マップは北はブーゲンビル島から、南はガダルカナル島までを含んでいます。戦術マップはこの戦略マップの一海域を抜き出し、ブーゲンビル戦区(北部マップ)、ニュージョージア戦区(中部マップ)、ガダルカナル戦区(南部マップ)に分けています。それぞれの戦術マップは、1辺約40kmの広さを持っています。キャンペーンでは、日本軍はガダルカナル戦区を、アメリカ軍はブーゲンビル戦区を占領することを目的に行われます。
 登場艦艇は戦艦、巡洋艦、駆逐艦など全て1隻単位実名で登場します。なお夜戦における艦隊戦に限ったシミュレートのため、空母や潜水艦は登場しません(キャンペーンシナリオのイベントを除く)。同様に航空機もユニット化されていません。

   キャンペーンゲームの進行は、修理、増援、イベント、部隊編成、海戦の5ステップを1ステージとし、これを17ステージ繰り返すことで行われます。なお1ステージは実際の1ヶ月に相当します。
 修理ステップでは、海戦やイベントで損傷した艦艇の修理を行います。各艦艇はブロックと呼ばれる構造を持っています。このブロックは、1艦艇につき16〜34個あり、それぞれ主砲や弾薬庫、魚雷発射管、機関等を表しています。敵弾命中や座礁による損害は、このブロックの破壊ということで表され、破壊されたブロック全ての修理が完了するまで、その艦艇は海戦に参加することができなくなります。キャンペーンでは、日本軍は損傷艦1隻につき2ブロックまで(緊急修理として4隻のみ4ブロックまで)の修理が可能です。一方の連合軍は、損傷艦1隻につき3〜6ブロック(難易度調整により変更可能)となっており、同じ損傷率で戦況が推移した場合、日本軍が極めて不利になることが判るでしょう。
 増援ステップでは、日米の艦艇の増援と、米陸軍の増援が行われます。この増援の結果、どちらかの陸軍戦力が、他軍の2倍に達すると、その戦区が占領されたこととなり、次の戦区に戦場が移されます。こうして、日本軍はガダルカナル戦区を、アメリカ軍はブーゲンビル戦区を占領すると勝利を得ることができます。
 イベントステップでは、夜戦以外の戦闘(潜水艦による攻撃、空母戦等)の処理を行い、部隊編成ステップでは、艦隊への艦艇の組み込みを行います。個々の艦艇は、艦隊に編入されることで、海戦に参加する事が可能となります。艦隊には第1戦隊、第2水雷戦隊等の艦隊名と、山本五十六、田中頼三等の指揮官名が規定されております(※)。指揮官は戦闘により戦死する場合もあり、こうして指揮官不在となった艦隊は、以後のゲームには登場する事ができなくなります。つまり、艦艇が残っていても、指揮官が全滅してしまうと、ゲームオーバーとなってしまいます。
※このゲームには、指揮官の能力といった数値は規定れておらず、このあたりにこのゲームのデザイナーのこだわりを感じています。

 こうして部隊編成までが終わると、戦術マップに移行し、いよいよ海戦が始まります。
 戦術マップは、ガダルカナル戦区を例にすると、右図のようになります。このマップの北西より日本軍が侵攻することとなります。なお戦力が不足している場合、海戦をスキップすることも可能です。戦況によっては、このように待つことも重要となるのが、このゲームの一つの特徴と言えるでしょう。

 海戦は、移動フェイズ、物資投下フェイズ、照射フェイズ、射撃フェイズ、ダメコンフェイズを1ターンとし、これを30ターン繰り返すことで行われます。1ターンは実際の4分に相当し、1回の海戦は2時間で行われることになります。
 移動フェイズでは、艦隊毎の移動計画(移動プロット)を立てます。このフェイズでは、損傷艦を艦隊から分離したり、あるいはピケット艦と呼ばれる、先行艦を分離派遣したりする事ができます(これらの艦隊に所属しない艦艇を独行艦と呼びます)。全ての艦隊、独行艦の移動計画が完了したならば、フェイズは終了し実際の移動が行われます。
 物資投下フェイズでは、物資投下エリア(右図にてルンガ沖の長方形のエリア)内に艦艇存在し、かつその艦艇が補給物資を搭載している場合、物資投下を実施する事ができます。こうして補給物資を投下する事により、日本陸軍の戦力が補強されることとなります。これはネズミ輸送と呼ばれ、実際に行われた作戦行動です(アメリカ軍はTokyoExpress=東京急行と呼びました)。
 次の照射フェイズでは、敵艦への探照灯照射を行う艦艇と、その照射先を決定します。このゲームは夜戦を扱っているため、日本軍の視界は8000m、アメリカ軍のそれは6000m(レーダー装備艦では12000m)となっています。敵艦を視界に捕らえている艦艇のみ射撃が可能となりますが、照射を受けた艦艇は、20000m以内の艦艇から視認されることとなります。こうして火力を集中する事が可能となります。しかしながら照射を実施した艦艇も、20000m以内の敵艦より視認されてしまうため、損害が集中する可能性があります。それ故、照射先と照射艦の選定には、万全を期す必要があります。
 射撃フェイズでは、各艦艇毎に射撃兵装の選択と、攻撃目標の選定を行います。兵装には、主砲、副砲、高角砲、魚雷があり、各兵装毎に目標を選定する事ができます。主要な戦艦は、主砲、副砲、高角砲を持っているため、最大3目標まで攻撃可能となります。ただし各兵装には射界が設定されており、例えば前部主砲は、後方への射撃ができないようになっています。そのため艦の方位と射撃目標の位置関係を考えた移動が必要となります。こうして射撃プロットが完了すると、命中判定となります。命中判定は、艦隊の旗艦から始まり、艦隊所属艦、独行艦の順に処理されていきます。これに目標艦の速度、火災の有無、練度、射撃方位(雷撃のみ)、射撃距離等々のファクターにより命中率が決まり、兵装の貫徹力と、命中ブロックの装甲値により損害の発生が決まります。損害には、ブロックが完全に破壊される破壊と、応急修理により通常ブロックに復帰できる破損とがあります。ブロックが破壊された場合、隣接ブロックに損害が広がる被害拡大、弾薬庫の誘爆、火災の発生等が生じます。こうして全ての機関ブロックが破壊(あるいは破損)した艦艇は撃沈され、以降のゲームから除かれます。
 また射撃は、飛行場に砲撃を行うこともできます。飛行場への砲撃が成功すると(命中弾を得ると)、米陸軍の戦力を削ることができます。
 最後のダメコンフェイズでは、破損ブロックの修理、火災の消火が行われます。修理と消火の成功確率は、ゲームの難易度調整で変更可能ですが、多くの場合日本軍が低く、アメリカ軍が高く設定されています。

 ざっと流れを説明しましたが、ここで留意してもらいたいのは、艦艇の撃沈は、必ずしも勝利条件に関わってこないと言うことです。キャンペーンにおいては、陸軍への物資投下が作戦目的であり、艦艇の撃沈はその過程で発生するイベントに過ぎません。場合によっては戦艦数隻の犠牲を伴っても、増援を成功させないといけない場合もあります。物資投下で日本陸軍の戦力を増強し、飛行場砲撃により米陸軍を弱体化させる。これが最終的な勝利に繋がるのです。

 それではキャンペーンゲームの経過を追っていきましょう。
 第1ステージ
 第2ステージ
 第3ステージ
 第4ステージ
 第5ステージ
 第6ステージ
 第7ステージ



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